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所有と経営の未分離-持分会社(2)

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前回、持分会社の特徴とその分類についてふれました。
今回は持分会社の特徴についての補足と合同会社についてです。

◆持分会社の特徴について簡単に補足すると以下のようになります。
(1)定款の作成・変更には全社員の一致が必要ということ
(2)社員の持分の譲渡、新たな社員の加入も他の社員全員の承諾が必要
(3)利益配当、議決権分配も出資の割合に関係なく自由に決めることができる(ただし、合同会社の利益配当については下記のとおり)

◆合同会社の特徴について
出資者たる社員は全員、有限責任社員となり、万が一、事業に失敗したとしても出資した金額の範囲内で責任を負います。
その一方で労務出資が認められている合名会社、合資会社の社員とは異なり、労務出資ができず、必ず金銭(または金銭以外の財産)での出資が必要となります。
このように有限責任が認められ、会社債権者に対して直接責任を負わない代わりに、利益配当について規制が置かれています。
また、出資の払戻しや持分の払戻しについても規制が置かれています(詳細についてはここではふれません)。
これまでのことをまとめると合同会社は持分会社でありながら、株式会社のような特徴も持っている会社形態と言えそうです。

合同会社は株式会社よりも容易に設立することができます(設立時登録免許税が安いことや定款認証が不要といったことがあげられます)。
一方で、まだ認知度の高い会社形態ではないというデメリットもあります。
個人の能力に依存する割合が高く、会社の規模を将来的に大きくしていく予定がなければ、一つの選択肢として考えてもよいのではないでしょうか。

ところで、合同会社の「社員」は法人でもなることができます。前回、例にあげた西友ユニバーサルミュージックのような大企業でも合同会社という形態を選ぶことができるというわけです。

所有と経営の未分離-持分会社

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西友で買い物をして領収書を受け取ると、そこにはこう書かれてあるはずです。

合同会社西友

最近、エミネムの新譜を買ったという方、あるいはレディー・ガガでも福山雅治でも構いませんがCDケースの裏をご覧ください。

「発売・販売元:ユニバーサルミュージック合同会社

どちらの会社も「合同会社」です。
平成18年施行の会社法によって導入された会社形態で、「合名会社」「合資会社」とともに「持分会社」のひとつに分類されます。

持分会社の特徴としては、株式会社では前回ふれたように所有と経営が分離されているのに対して、社員(=出資者のこと、一般的に従業員をさして言う「正社員」とは異なる)でなければ業務執行者となることはできず、所有と経営は未分離ということがあげられます。
また、「社員」が有する「持分(社員たる地位)」の譲渡には他の社員の承諾が必要とされているため、「持分」が投資家によって頻繁に売買されるようなことにはなりません。

持分会社は、さらに出資者の責任の範囲の違いに応じて、「合名会社」「合資会社」「合同会社」に分類されます。

出資者全員が無限責任社員である会社を「合名会社」、無限責任社員と有限責任社員の両方が存在するのが「合資会社」、全員が有限責任社員であるのが「合同会社」となります。

事業者が債権者に対して支払ができなくなった
場合に、出資者個人が私財を投じても弁済する責任があるのが無限責任、出資した金額の範囲内で責任を負うのが有限責任といわれます。
従いまして、無限責任社員のみの合名会社は法人ではあるものの、個人事業に非常に近い形態といえます。
また資金提供者に有限責任を保障するというのが合資会社となりますが、中心となって会社を興した人が無限責任社員になるのが通常ですから、そのリスクは考えなければなりません。

次回へ続きます。


所有と経営の分離について

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ソフトバンクの孫正義社長が司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』に強く影響を受けたことは、ご存知の方もいると思います。
TVCMでもお父さんが高知の桂浜まで行っていたような…。
ちなみに海援隊の隊旗(上から赤・白・赤の横に三本のライン)の赤の部分を黄色に変えると、みなさんご存じのソフトバンクのロゴになるということらしいです。
大河ドラマの方は第二部が終了し、長崎に舞台を移し第三部がはじまります。
龍馬たちは長崎で薩摩藩を出資者とする「亀山社中」を結成します。
グラバー商会との武器の取引や物資輸送など近代的な商社の活動をしていました。
のちに土佐藩のもとで海援隊となり、龍馬なき後は、岩崎弥太郎が後を継いで三菱商事へとつながっていきます。

現在の日本では、会社のほとんどが株式会社という形をとっていますが、株式会社の大きな特徴のひとつに「所有と経営の分離」ということが挙げられます。
そういう意味では、亀山社中も株式会社に近い形だったと言えるのではないでしょうか。
上場企業だとイメージしやすいと思いますが、小規模な会社の経営者の方にとっても考え方は同じです。
小規模な会社では、代表者が株主であり、同時に取締役でもあるという形が一般的ですが、その場合でも取締役の立場と株主の立場を分けて考えます。
株主として考えた場合、会社に何があっても出資額以上に責任を問われることはありません(有限責任と言われます)。
取締役として考えた場合でも会社が債務超過になったからといって、取締役が個人の財産を投じて弁済する必要はありません。
その点、事業者が債権者に対して支払いができなくなった場合に、出資者個人が私財を投じて弁済する責任がある(無限責任と言われます)個人事業者や、合名会社、合資会社の無限責任社員とは異なるのです。


会社設立と消費税

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にわかに消費税問題が騒がしくなってきているようです。
その是非はともかくとして、今回は会社設立時に知っておくべき消費税に焦点を絞ってみたいと思います。

ご存じ消費税のしくみは、105円(本体価格100円+消費税5円)で商品を仕入れたものを210円(本体価格200円+消費税10円)で売った場合に、預かった消費税10円から仕入時に支払った消費税5円を引いた残額5円を、税務署に納める計算になります。

ただし、課税売上高が1000万円を超えない小規模な事業者は、消費税の納税義務が免除されています。

免税業者の場合、税務署に納めるべき消費税が、利益となって事業者の手元に残るわけですから、これは大きなメリットになります。
1000万円を超えたかどうかは今期の売上高ではなく2期前の売上高で判定されます。
したがって新規に会社を設立した場合、当然ですが、2期前の売上高はゼロ円ということになりますから会社設立から2期目までは消費税の納税が免除されるることになります。

ただし、会社の資本金が1000万円以上の場合は、たとえ売上高が1000万円に満たない場合であっても1期目から消費税の申告・納税が必要となりますので注意が必要です。


定款の相対的記載事項

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相対的記載事項とは、定款に記載することは必要ではないが定款で定めないとその事項の効力が認められない事項をいいます。

(1)現物出資
(2)財産引受け
(3)発起人の報酬その他の特別利益
(4)設立費用

それぞれ会社の財産形成を害する危険を持つため、定款への記載が要求されます。
今回は現物出資について述べたいと思います。

現物出資とは、金銭以外の財産による出資をいいます。
出資の目的物としては、動産・不動産・債権・有価証券・知的財産権などが考えられます。
現物出資においては、目的物を課題に評価して不当に多くの株式が与えられると金銭出資をした他の株主との間で不公平となることや、会社債権者を害するおそれがあります。
したがって現物出資を行うには、現物出資者の氏名(名称)、出資の目的たる財産、その価額、その者に対して割り当てる株式の数を定款に記載することが必要とされます。
さらに、現物出資を行うには、原則として検査役調査が必要となります。発起人は、公証人による定款の認証の後遅滞なく、裁判所に検査役の選任を申し立てなければなりません。
例外として以下の場合には検査役調査は不要になります。

1.現物出資および財産引受けの目的財産の定款記載の価額が500万円を超えない場合
2.当該財産が市場価格のある有価証券であって、定款記載の価額が市場価格を超えない場合
3.現物出資が相当であることについて、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合(目的財産が不動産であるときは、不動産鑑定士の鑑定評価が必要)

現物出資のルールとしては上記のように定められており、現金がなくても「資本金」を計上することは可能となっていますが、検査役調査には時間と費用がかかります。

そのこともふまえて現物出資するかどうかの判断が必要になってきます。

定款の絶対的記載事項

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会社を設立する際に必ず作成しなければならない「定款(ていかん)」ですが、意外と知られていないようです。
今回はその定款について、特にその絶対的記載事項について触れたいと思います。

定款とは、会社の組織と活動に関する根本規則のことをいいます。
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員が、定款に署名または記名押印することが必要です。
作成した定款は公証人の認証を受けなければなりません。
これは定款の内容を明確にして、後日の紛争を防止するためです。
定款に記載される事項のうち、必ず記載しなければならない事項を絶対的記載事項、定款に記載することは必要ではないが定款で定めないとその事項の効力が認められない事項を相対的記載事項、定款に記載せず、株主総会決議・取締役会により制定する規則等により定めても効力が生じるが、事項の明確化を図る目的で定款に規定されている事項を任意的記載事項といいます。

絶対的記載事項
(1)会社の目的
(2)商号
(3)本店の所在地
(4)設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
(5)発起人の氏名・名称および住所
(6)発行可能株式総数

(1)目的とは、会社の営む事業をいい、たとえば「●●および▲▲の製造および販売」というように記載され、会社が行う可能性のある事業活動を列挙し、最後に「前各号に附帯する一切の事業」と書くことが一般的です。

(2)商号とは、会社の名称です。株式会社の商号には「株式会社」の文字を含めることが必要になります。また、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはなりません。

(3)本店の所在地は、裁判の専属管轄地となります。

(4)設立に際して出資される財産の価額を、たとえば「100万円」と確定額で定めたり、「100万円以上」とその最低額で定めます。

(5)発起人は法人でも構いません。

(6)発行可能株式総数とは、会社が発行することができる株式の総数です。発起人により会社の規模を制限する意味合いがあります。

次回は、相対的記載事項と現物出資についてご案内します。

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