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【令和7年度対応 派遣労使協定のイメージが更新されました】


【労働局でも労使協定に不備がないか指導強化していく方向です】

令和7年1月31日に令和7年度対応の労使協定イメージが公開されました

労使協定記載方法に大きな変更点は特に無く、昨年度より変更となった交通費を基本賃金に含めて支給する場合の額が72円から73円に変更になった点や、令和6年から令和7年への表記変更、一般賃金額を令和7年度に反映して計算された別表などが変更点となっているようです。

令和7年度の労使協定を作成する際にはこちらのイメージを参考にして、自社の昨年度の労使協定との変更点を注視してみてください。

また、東京労働局の発表では、派遣労使協定の賃金額に不備がないか指導強化しているとの発表もありました。新設した手当などに不適切な会社がみられるとのことで、今後は集団指導等で呼びかけを強化していくとのことです。

労使協定方式で定めた賃金は、有効期間中の派遣労働者の賃金額を決定する事となり派遣労働者の生活に直結する極めて重要な部分であることから不備の無い金額設定にしなければなりません。恣意的に賃金額を下げて設定することはもちろん、派遣会社が理解せず不備がある場合も是正指導の対象となります。

労使協定方式の派遣労働者の賃金額は、毎年更新される「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(一般賃金)の額」と同等以上でなければならない事から毎年の見直しが必要になります。派遣業の許可を取得した会社様でも、労使協定をどう作成すればよいのか?これで問題なく作成できているのだろうか?と、悩まれている会社様もいらっしゃると思います。弊社では労使協定作成においてもサポートする顧問契約プランがございます。一般賃金額の考え方や、自社の労働者の賃金額の設定方法などをアドバイスし、労使協定完成までサポートさせていただいております。

【労務管理】2025年4月から育児休業給付金の延長の手続きが変わります


育児休業給付金とは

育児休業給付金は、雇用保険に加入している一定の条件を満たした労働者が育児休業を取得した場合に、原則として子が1歳になるまで支給される給付金です。
一定の要件を満たした場合は、子が1歳2か月、1歳6か月、2歳になるまで給付金が支給されます。

子が1歳2か月になるまで支給されるケース

子が1歳2か月になるまで支給されるケースは、「パパ・ママ育休プラス制度」と呼ばれているものです。
期間延長の制度ではないので、2025年4月から変わる延長の手続きには関係ありません。
男性の育児休業の取得促進のためにできた制度で、両親どちらも育児休業をした場合の特例です。

画像は厚生労働省パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」より

以下すべての要件を満たすと、『子が1歳2か月に達する日の前日』までの間に、最大1年まで育児休業給付金が支給されるようになります。母親の場合は、出産日(産前休業の末日)と産後休業期間と育児休業期間を合わせて最大1年、父親の場合は、出生時育児休業期間と育児休業期間を合わせて最大1年です。

  • 育児休業開始日が、子の誕生日以前であること
  • 育児休業開始日が、配偶者の育児休業の初日以後であること
  • 配偶者が子の1歳に達する日(誕生日の前日)以前に育児休業を取得していること

この制度では、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同じような状況にあれば配偶者として認められます。また、配偶者が国家公務員や地方公務員等である場合も含まれます。

子が1歳6か月になるまで支給されるケース

子の1歳の誕生日※以後も親の職場復帰が難しい事情がある場合、子が1歳6か月に達する日前まで育児休業給付が延長されます。

※パパ・ママ育休プラス制度を使っている場合は、パパ・ママ育休プラス制度の育児休業終了日。以下の※はすべて同じです。

親の職場復帰が難しいと認められる理由はいくつかありますが、その一つに『保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、当面保育が実施されない場合』というものがあります。

保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、当面保育が実施されない場合

『保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、当面保育が実施されない場合』の確認は、これまでは【市区町村が発行する入所保留通知書】などで確認されていました。
2025年4月からは、さらに『保育所等の利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものであると認められること』という条件が追加になります。

保育所等を利用する気持ちがそもそもないのに、親が育児休業を長くしたいという理由で市区町村に入所申し込みをすることは制度の趣旨に合いません。制度を適切に運用するため、確認事項が追加となったようです。

育児休業の延長の申請に必要となった追加書類
延長事由認定申告書

子の1歳の誕生日の前日※(または1歳6か月に達する日)が2025年4月1日以後となる方から新しい条件が追加になります。

2025年4月1日からは、保育所等の保育が当面実施されないために支給期間の延長を行う場合は、以下のすべてに該当する必要があります。

確認事項必要な書類
1速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること【2025年4月1日から】育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書 【2025年4月1日から】
2あらかじめ市町村に対して保育利用の申込みを行っていること市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
3子が1歳に達する日(=子の1歳の誕生日の前日)※の翌日(または1歳6か月に達する日の翌日)の時点で保育所等に利用ができる見込みがないこと【市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知入所保留通知書、入所不承諾通知書など

申込をする保育所等は、認可保育所や認定こども園等のことで、いわゆる無認可保育施設は含まれません。
また、保育利用の申込みについても入所申込年月日や入所希望日、保育所等の場所など一定の条件があります。

子が2歳になるまで支給されるケース

子が1歳6カ月に達するまで育児休業を延長したものの、さらに休業が必要だと認められる事情がある場合、子の2歳誕生日の前々日まで育児休業給付金が延長されます。

子が1歳6か月になるまで支給されるケースと同じように、あらためて延長の理由などを申請し、手続きをする必要があります。

【労務管理】2025年4月からの育児休業給付について


育児休業給付は、『雇用保険に加入している一定の要件を満たした労働者』が育児休業をした場合に支給される給付金です。

育児休業給付には、次の4種類の給付金があり、2025年4月から新しく始まる給付金が2種類あります。

  • 出生時育児休業給付金
  • 出生後休業支援給付金(2025年4月1日から)
  • 育児休業給付金
  • 育児時短就業給付金(2025年4月1日から)
画像は厚生労働省パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」より

出生時育児休業給付金とは

出生時育児休業給付金は、原則として男性が育児休業を取得した場合に支給される給付金です。
(女性が出生時育児休業給付金を受給できるのは、養子の場合に限られます。)

主な支給要件は次のとおりです。

  • 子の誕生日からおおよそ8週間の期間内※に、4週間(28日)以内の期間を定めて産後パパ育休を取得する。2回まで分割可。
  • 休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または80時間以上)の月が12か月以上ある。
  • 休業期間中の就業日数が、最大10日以下、10日を超える場合は就業した時間数が80時間以下である。
  • 有期雇用契約の労働者の場合は、一定の定められた期間までに契約期間が終わることが明らかでない。

※正確には「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間内。

出生後休業支援給付金とは(2025年4月1日~)

出生後休業支援給付金は、2025年4月1日から新しく始まる給付金です。

一定の要件を満たした場合に「出生時育児休業給付金」や「育児休業給付金」に上乗せされて支給されます。

 

「出生後休業支援給付金」が「出生時育児休業給付金」に上乗せされる場合
  • 出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休を通算して14日以上取得すること。
  • 配偶者が子の誕生日の翌日に産後休業中であるなど、一定の要件に該当していること。
「出生後休業支援給付金」が「育児休業給付金」に上乗せされる場合
  • 育児休業給付金が支給される育児休業を対象期間に通算して14日以上取得すること。
  • 配偶者が子の誕生日の翌日に産後休業中であるなど、一定の要件に該当していること。

「出生時育児休業給付金」と「出生後休業支援給付金」の支給額

「出生時育児休業給付金」支給額は、休業を開始したときの賃金日額の67%で、「出生後休業支援給付金」が休業を開始したときの賃金日額の13%です。合わせて80%が支給されるようになります。

出生時育児休業給付金の支給額休業開始時賃金日額×休業日数(28日が上限)×67%
出生後休業支援給付金の支給額休業開始時賃金日額×休業日数(28日が上限)×13%

「休業開始時賃金日額」とは、出生時育児休業または育児休業を開始する前の、直近6か月間に支払われた賃金総額を180で割った額です。賃金支払基礎日数が11日未満の賃金月は除いて計算されるなどの一定の計算方法や、上限額と下限額などが定められています。

なお、育児休業等給付は非課税で、さらに育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除されるため、休業開始時賃金日額の80%給付は手取り10割相当となります。

ただし、休業開始時賃金日額に上限額があるので、すべての人が手取り10割相当になるわけではありません。また、出生時育児休業期間に事業主から賃金が支払われた場合は給付金が減額される場合があります。

育児休業給付金

育児休業給付金は、原則として1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した労働者に支給される給付金です。

支給要件は主に次のとおりです。

  • 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得する。2回まで分割可。
  • 休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(または80時間以上)の月が12か月以上ある。
  • 支給単位となっている期間中に就業した日数が10日以下、10日を超える場合は就業した時間数が80時間以下である。
  • 有期雇用契約の労働者の場合は、一定の定められた期間までに契約期間が終わることが明らかでない。

労働者が子の母の場合、産後休業期間である子の誕生日の翌日から8週間は育児休業給付金の対象外です。ただし、産後休業期間は、育児休業給付金とは別に、勤務先の健康保険に加入していれば出産手当金が支給されます。国保の場合は出産手当金はありません。

また、 育児休業給付金が支給される期間は、原則として子が1歳の誕生日の前々日までですが、パパ・ママ育休プラス制度を利用する場合は子が1歳2か月、さらに保育所に入れない等の事情がある場合は子が1歳6か月、そして2歳になるまで、それぞれ延長できる制度になっています。

パパ・ママ育休プラス制度とは

父母ともに育児休業を取得する場合で、一定の要件を満たすと子が1歳2か月までの間に最大1年育児休業給付金が支給されます。母親の場合は、出産日(産前休業の末日)と産後休業期間と育児休業期間を合わせて最大1年、父親の場合は、出生時育児休業期間と育児休業期間を合わせて最大1年の期間となります。

「育児休業給付金」と「出生後休業支援給付金」の支給額

育児休業開始から180日目までの育児休業給付金の支給額
※出生時育児休業給付金の支給日数は、上限日数の180日に通算されます
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
育児休業開始から181日目以降の育児休業給付金の支給額 休業開始時賃金日額×支給日数×50%
出生後休業支援給付金の支給額休業開始時賃金日額×休業日数×13%
※28日が上限。ただし、産後パパ育休で出生後休業支援給付金が支給されている場合などは、支給済日数分を差し引いた日数が上限。
※育児休業期間に事業主から賃金が支払われた場合は給付金が減額される場合があります。

育児時短就業給付金

令和7年4月1日から、労働者が2歳未満の子を養育するため所定労働時間を短くして働く場合、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと「育児時短就業給付金」の支給を受けることができます。

給付率は、時短勤務中に支払われた賃金額の10%です。

こちらは厚生労働省から詳細パンフレットがまだ公開されていないので、詳細はまた別の機会にまとめたいと思います。

【派遣延長が短期の場合には、日雇い派遣に当たらないように注意が必要です。】


【派遣期間終了後に派遣先から1週間延長の申入れがあった際の注意点】

労働者派遣では、30日以内の雇用期間を定めて派遣するいわゆる「日雇い派遣」は、必要な雇用管理がなされず、派遣労働者の保護に欠けることから、原則禁止とされています。
ただし、一部の職種、60歳以上や昼間の学生、年収500万円以上等については例外として日雇い派遣が可能とされています。

日雇い派遣禁止についての厚生労働省の詳細はこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000644420.pdf

「30日未満の派遣期間延長を派遣先から依頼があった場合には、日雇い派遣に該当しないか注意が必要となります。」

たとえば、労働者Aさんを派遣期間3カ月、雇用期間3カ月で労働者派遣を行っている場合に、派遣先から繁忙の為、1週間だけ派遣期間の延長をお願いされる場合があるとします。派遣先から改めて1週間の派遣就業の依頼があった場合、日雇い派遣の例外に当たる60歳以上等や無期雇用の方を派遣元会社が派遣できるならば、問題は無いのですが、Aさん以外に派遣できる人がいない場合にはどうすればよいのか、という話になります。

Aさんを雇用期間3カ月終了後に継続雇用し、1週間の雇用期間を再締結後に派遣する事は日雇い派遣に該当します。この場合雇用期間は1週間と判断されます。

これを防ぐためには、事前にAさんと雇用契約期間変更の同意を得た上で、雇用契約期間を3ヶ月と1週間の期間に変更する必要があります。(例1月1日~3月31日まで→1月1日~4月7日の期間に変更)これにより30日以内の雇用期間とならず、日雇い派遣には該当しない形になると3局の労働局に確認して問題ないと言われています。

上記案件に該当し、気になる場合は管轄の労働局にご確認していただければと思います。

【労務管理】給与から厚生年金保険料が天引きされていたのに年金記録がない場合


「給与から厚生年金保険料を天引きされていたのに、その間の年金加入の記録がない・・」

故意にせよ過失にせよ、事業主が従業員の給与から厚生年金保険料を天引きだけして、年金事務所に資格取得の届出や保険料の納付をしないことは、絶対にあってはいけません。

しかし、そのようなことが起きてしまい、すでに国が保険料を徴収する権利が時効によって消滅しているような場合、次のように対処されます。

被保険者から厚生年金保険料を源泉徴収(天引き)していたにもかかわらず、事業主が社会保険事務所(現在は、年金事務所)に対して、当該保険料の納付および被保険者の資格関係等の届出を行っていたことが明らかでないと日本年金機構で訂正が行える事案または地方厚生局で地方年金記録訂正審議会より記録訂正の答申があった事案について

・日本年金機構は、年金の保険給付の対象とするための年金記録訂正を行う。
・事業主は、時効(2年間)消滅後であっても、納付すべきであった保険料を納付することができることとし、日本年金機構がその納付を勧奨する。

(引用元)厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する公表について

給与から厚生年金保険料が天引きされていたのに年金記録がない人は、その期間の記録があったものとして決定されます。
※ただし、事業主が届出や納付をしていない事実を当人が知っているような場合はこの限りではありません。

事業主や役員が保険料を納付しない場合

日本年金機構から勧奨された保険料を事業主や役員が納付しない場合、厚生労働省はその事業所名・事業主または役員等の氏名を公表します。

公表期限までに特例納付保険料の納付申出をしなかった事業主など

年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合

今はねんきん定期便があるので、年金加入記録はある程度、各人で確認しやすい体制になっています。
「給与から引かれてるのに記録がない?金額が間違っている?」という場合は、年金事務所に問い合わせをすることができます。

【労務管理】介護保険制度とは


以前は、親の介護は子どもや家族が各家庭の中で行うことが一般的でした。
しかし、高齢者の増加や核家族の増加で介護による離職が社会問題となったため、家族の負担を軽減し、社会全体で介護を支えることを目的に2000年に介護保険制度が創設されました。

介護保険法では、総則で目的を次のように定めています。

介護保険法

(目的)
第一条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

介護保険を受けられる人(被保険者)

介護保険を受けられる人(被保険者)は次のとおりです。

第2号被保険者40歳から64歳まで『加齢に伴う特定疾病』が原因で要介護(要支援)認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
第1号被保険者65歳以上『要介護認定』または『要支援認定』を受けたときに介護サービスを受けることができます。
介護認定等を受けるようになった原因は何でもOKです。

特定疾病とは

65歳以上の高齢者に多く起きている加齢との関係が認められる疾病で、3~6ヶ月以上継続して『要介護状態』または『要支援状態』となる場合が多いもの。

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険料を納付する人

介護保険料を納付する人(被保険者)は次のとおりです。

第2号
被保険者
40歳から64歳まで【40歳の誕生日の前日が属する月】から【65歳の誕生日の前日が属する月の前月】まで納付します。
健康保険料と一緒に介護保険料を納めるので、勤め先で健康保険に加入している場合は給与から天引きされます。
第1号
被保険者
65歳以上【65歳の誕生日の前日が属する月】から納付します。
市町村と特別区に納めますが、原則として年金から天引きされます。

65歳になったら気を付けるポイント

高年齢者雇用安定法で「70 歳までの定年の引上げ」など70歳までの就業機会の確保が努力義務とされたので、65歳以降の方を雇用する機会も増えてきたと思います。

65歳以降の社会保険の取り扱いで気を付けるポイントは次のとおりです。

介護保険料勤め先で給与から天引きするのは【65歳の誕生日の前日が属する月の前月】までの分です。
【65歳の誕生日の前日が属する月】からは、本人が直接、市町村等に納めるようになります。
健康保険料65歳以降も引き続き給与から天引きします。
健康保険は【75歳になる誕生日の前日】まで勤め先で加入できます。
厚生年金保険料原則として【70歳に到達する誕生日の前日】に資格を喪失します。
70歳以上も雇用を続ける場合は70歳以上被用者該当の届出が必要ですが、保険料は徴収されず、年金額にも反映されません。
また、70歳以上の方も一定の要件を満たした場合、申出することで厚生年金保険に高齢任意加入をすることもできます。

また、60歳以上の人を退職後1日もあけずに再雇用したとき、就業規則等を添えて資格の喪失と取得を年金事務所に同時に届け出をすることで、標準報酬月額を再雇用された月から変更することができます。


再雇用後は給与が下がる場合が多いと思いますが、届出をすることで再雇用した月から下がった給与に応じた社会保険料となります。

【労使協定方式で地域指数を選択する際の留意点】


【派遣就業先の地域指数とは限りません】

労使協定方式の労働者派遣を行う場合、国が定める、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額に、地域指数を掛けた金額と同等以上の賃金を派遣労働者に支払う必要があります。
この地域指数は、必ずしも就業している派遣先場所にはなりませんので、注意が必要です。

労働局は地域指数の選択方法として派遣先事業場が、ある程度の事務的能力が必要とされていることから原則として派遣先会社の雇用保険の適用事業所の地域指数を利用するようにと言われます。
例えば茨城県にある派遣先就業場所で派遣労働者が働いていたとしても、茨城の派遣先会社の本社が東京にあり、手続き等の事務処理を東京本社で行っている際は、東京が雇用保険の適用事業所になり東京の地域指数を利用する、という事になります。

令和6年8月27日発表の局長通達本文に下記記載があります。

【「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」については、具体的には、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断することとなり、常に雇用保険の適用事業所と同一であるわけではない。また、協定対象派遣労働者が実際に就業する場所ではなく、例えば、派遣先の事業所が東京都にあるが、協定対象派遣労働者が実際に就業する場所が埼玉県である場合「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」は東京都である。 】

また、労使協定方式に関するQ&A(集約版)に下記の記載があります。

【労使協定Q&A】
問2-18 派遣元事業主が地域指数を選択する際、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」は具体的にどのように判断すればよいか。

答 「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」については、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断することとなり、常に雇保険の適用事業所と同一であるわけではない。

上記の点から必ずしも雇用保険の適用事業所となるわけではないとされています。
ただし、派遣元会社は派遣先会社の就業場所が独立性や高度な事務能力があるかを判断することは不可能なため、派遣先会社に確認をすることになります。

通達にある【経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断】
Q&Aにある【経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること】

のある程度の、基準はどこから認められるのかを各都道府県の労働局に確認してみましたが、答えは労働局によって見解が異なり、具体的な線引きが出来ず、実態で判断するというのが労働局の答えでした。

派遣先から独立している事業場と聞いたから就業場所の地域指数を使用していたが、労働局の調査が入り、実際には派遣先就業場所が独立した事業場と認められない場合は、正しい地域指数により賃金額を計算し、不足がある場合には遡って賃金を労働者に支払う必要も出てきます。派遣先から独立性のある事業場と聞いていたので・・・と言っても通用しない事になりますので、慎重に判断することが必要です。

【労務管理】2025年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率が変わります


高年齢雇用継続給付とは

雇用継続給付は、職業生活の円滑な継続を援助・促進することを目的としたものです。

高年齢雇用継続給付は、60歳になった時等に比べて、賃金が75%未満に低下した状態で働く60歳以上65歳未満の一定の雇用保険被保険者に支給されます。

高年齢雇用継続給付のなりたち

平成6年に定年年齢が60歳に義務化され、平成10年に施行されました。
また、老齢厚生年金の支給開始年齢は平成13年度から60歳から65歳まで段階的に引上げになっています。


それらを背景に、高年齢雇用継続給付は平成7年4月に創設されましたが、65歳までの雇用確保の義務や70歳までの定年引上げ・定年廃止などが努力目標として設けられ、高年齢者の雇用を確保する環境が進展していることで給付率の見直しが進められています。

2025年4月1日からの支給率

60歳の誕生日の前日※が令和7年3月31日以前各月に支払われた賃金の0~15%が支給されます。
(これまでと同じ支給率)
60歳の誕生日の前日※が令和7年4月1日以降各月に支払われた賃金の0~10%が支給されます。
(変更後の支給率)
※60歳誕生日の前日時点で雇用保険の被保険者期間が5年未満の場合は、5年を満たすこととなった日と読みかえます。

現行の給付率と、2025年4月からの給付率を比較すると次のようになります。

60歳到達等時点の賃金月額と比較したときの賃金の低下率が75%以上の場合は、これまでと変わらず高年齢雇用継続給付は支給されません。

賃金の低下率が74.5%以下になると支給されますが、2025年4月以降は支給率が下がり、最高でも10%の支給となります。

【労務管理】標準報酬月額の決まり方と注意点


標準報酬月額

標準報酬月額は、健康保険厚生年金保険保険料や年金給付額等を算出する基礎として、事務処理の正確化と簡略化を図るために設けられているものです。

国保ではなく、勤め先で社会保険に加入している方は、皆さんに標準報酬月額が決められており、それに基づいて月々の保険料が給与から控除されます。

健康保険料率は、加入している健保組合や都道府県ごとに違います。

標準報酬月額の上限と下限

健康保険と厚生年金保険では、標準報酬月額の上限と下限の等級が異なっています。

  • 厚生年金は32等級。標準報酬月額の上限(650,000円)、下限(88,000円)。
  • 健康保険は50等級。標準報酬月額の上限(1,390,000円)、下限(58,000円)。
画像は協会けんぽ宮城県の場合。協会けんぽHPから引用。

厚生年金の標準報酬月額の上限の決まり方

もともと厚生年金の上限の決め方にはっきりとした基準はなかったようですが

  • 高所得だった人に対する年金額があまりにも高くなりすぎないようにする
  • 低所得であった人にも一定以上の給付を確保する

を目的に、平成元年改正以後は、上限額が被保険者全体の平均標準報酬月額のおおむね2倍となるように設定する考え方となり、平成16年に法定化されました。

標準報酬月額の上限に該当する被保険者の割合は、昭和60年以降は6~7%で推移しています。

健康保険制度における標準報酬月額の上限の決まり方

健康保険料率については、保険給付費用の予算額等に照らして、おおむね5年を通じて財政運営の健全性を保てるように決められています。
上限額は、最高等級に該当する被保険者の全被保険者に占める割合が1.5%を超えてその状態が継続すると認められる場合に、一定のルールで政令で等級を追加できることになっています。

標準報酬月額が決定されるタイミング

標準報酬月額は、次のタイミングで決定されます。

資格取得時勤務先で社会保険に初めて加入したとき
定時決定毎年4月~6月に支払われる給与の平均額
随時改定昇給や降給等で固定的賃金に変動があって、変動月から3か月間の報酬の平均額が2等級以上の変更となったとき
※支払い基礎日数等の細かい要件もありますが、ここでは記載を省きます。

ここで、厚生年金と健康保険で標準報酬月額の上限と下限が異なることで、随時改定の手続きにおいて注意が必要になることがあります。

標準報酬月額等級表の上限または下限にかかる随時改定の注意点

標準報酬月額等級表の上限または下限にわたる等級変更の場合は、2等級以上の変更がなくても随時改定の対象となります。

昇給の場合

健康保険
  • 従前の標準報酬が1等級・58,000円で報酬月額が53,000円未満の場合報酬の平均額が63,000円以上で、改定後、2等級・68,000円になります。
  • 従前の標準報酬が49等級・1,330,000円の場合報酬の平均額が1,415,000円以上で、改定後、50等級・1,390,000円になります。
厚生年金保険
  • 従前の標準報酬が1等級・88,000円で報酬月額が83,000円未満の場合報酬の平均額が93,000円以上で、改定後、2等級・98,000円になります。
  • 従前の標準報酬が31等級・620,000円の場合報酬の平均額が665,000円以上で、改定後、32等級・650,000円になります。

降給の場合

健康保険
  • 従前の標準報酬が2等級・68,000円の場合報酬の平均額が53,000円未満で、改定後、1等級・58,000円になります。
  • 従前の標準報酬が50等級・1,390,000円で報酬月額が1,415,000円以上の場合、報酬の平均額が1,355,000円未満で、改定後、49等級・1,330,000円になります。
厚生年金保険
  • 従前の標準報酬が2等級・98,000円の場合、報酬の平均額が83,000円未満で、改定後、1等級・88,000円になります。
  • 従前の標準報酬が32等級・650,000円で報酬月額が665,000円以上の場合、報酬の平均額が635,000円未満で、改定後、31等級・620,000円になります。

【派遣元責任者講習の有効期限について】


【うっかり受講を忘れない為に】

派遣元責任者講習の有効期限は3年間です。同じ方が派遣元責任者を続けるのならば、期限切れになる前に講習を受ける必要があります。
派遣事業を運営する上で、派遣元責任者は必ず派遣元会社に配置している必要があります。3年に一度の事なのでうっかり有効期限を過ぎている事や、派遣元責任者の急な退職、病気による休職など思いもよらず派遣元責任者が不在状態になる事がございます。
許可制の派遣業では派遣元責任者の不在は許されない事ですので、注意が必要です。
期限切れ、不在状態を予防するために複数の派遣元責任者を選任し、講習日時をづらして受講するなど、空白期間が生じないようにするのも一つの対策です。

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