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【労務管理】令和7年6月からの職場における熱中症対策


労働安全衛生規則の一部が改正され、令和7年6月1日から熱中症のおそれがある作業を行う場合は次の対策が義務付けられます。

  • 早期発見のための体制整備
  • 熱中症による重篤化を防止するための措置・手順を作成
  • 関係作業者への周知

近年、気候変動の影響で熱中症による死亡災害が起きていますが、熱中症は死亡災害に至る割合が他の災害の約5~6倍もあり、早急に適切な対策をすることが求められています。

熱中症対策が必要になる作業

熱中症対策が必要になる作業は、暑熱な場所で連続して行われる作業など、熱中症が生じるおそれのある作業です。具体的には、

WBGT28度  または  気温31度以上の作業場 において行われる作業で、

継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。

作業強度や着衣の状況によっては上記に該当しなくても熱中症のリスクが高まるので、同じような対策が推奨されます。

WBGTとは

WBGTは、『厚さ指数』と言われるもので、人間の熱バランスに影響の大きい「気温」「湿度」「輻射熱」の3つを取り入れた温度の指標です。

WBGTは熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案され、日本では環境省が運営する『熱中症予防情報サイト』で情報発信されています。

熱中症予防情報サイトでは、無料で予測値や実況値等をお知らせする『暑さ指数(WBGT)メール配信サービス』もあり、令和7年度は4月23日(水)から10月22日(水)まで実施される予定のようです。

  • 厚さ指数(WGBT)は28を超えると熱中症患者発生数が急増するとされています。
  • 熱中症警戒アラートは、厚さ指数(WGBT)が33以上になると予測される地点があるときに発表されています。

早期発見のための体制整備

「熱中症の自覚症状がある作業者本人」や「熱中症の疑いがある人を見つけた他の作業者」が、その旨の報告をするための連絡体制等を整備し、体制を周知する必要があります。

どのような順番で、誰がどこに連絡するのか、緊急搬送先の連絡先や所在地等をまとめて周知します。

※本資料は、熱中症対策に関する連絡体制の一例として作成したものであり、すべての状況において適用可能であることを保証するものではありません。実際の運用にあたっては、各事業所の実情や関係法令に基づき、内容をご確認・ご調整のうえご利用ください。
本資料の利用により生じた損害等について、当方は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

熱中症による重篤化を防止するための措置・手順を作成

作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送など、熱中症による重篤化を防止するために必要な措置を実施するための手順を作成します。

熱中症のおそれのある者に対する処置の例が厚生労働省のサイト内にあるので、事業場ごとにフロー図を作成する際の参考にできます。

熱中症のおそれのある者に対する処置の例フロー図①
厚生労働省 職場における熱中症対策の強化についてより

体制や手順の周知

作成した連絡体制や手順は関係作業者に周知します。

手順や連絡体制の周知の一例
厚生労働省 職場における熱中症対策の強化についてより

【労務管理】試用期間とは


試用期間は、雇い入れ後、労働者を本採用するか見極めるための期間です。

「試の使用期間中の者」とは、本採用決定前の試験的使用期間中の労働者であって、その期間中に勤務態度、能力、技能、技能、性格等を見て正式に採用するか否かが決定されるものである。
一般には、本採用に適しないと判断されたときはその期間中といえども解雇し得るように、解約権が本採用者に比して広範に留保されており、その期間中の賃金その他の労働条件も低く定められている。

労務行政研究所編「実務コンメンタール 労働基準法・労働契約法」より

試用期間は必ず設けなければいけないものではありません。
必要に応じて、就業規則や雇用契約に試用期間を定めます。

  • 試用期間を設ける場合は、就業規則や労働条件通知書に期間や試用期間の労働条件を明確に定めます。
  • 試用期間の長さに関する法律上の決まりはありませんが、1カ月~6カ月程度が多いようです。
  • 合理的な理由もなくあまりにも長期間を試用期間とすると、公序良俗違反とされる可能性があります。
  • 試用期間を延長する場合は、労働者を不安定な地位に置くことになるので、きちんとした根拠や合理的な理由が必要です。
  • 就業規則に延長の可能性や延長する事由、期間、回数等について定めておくと良いですが、定めていない場合は労働者本人に合意をとるなど、延長にあたって丁寧な説明をすることが求められます。

試用期間は、正社員だけでなく、アルバイトやパート、契約期間の定めがある有期契約社員にも設けられる場合があります。

試用期間中の解雇

労働基準法21条では「試用期間中の者を入社から14日以内に解雇する場合には、解雇予告手当の支払いは必要ない」としています。

※解雇予告手当とは
労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければいけません。
30日前に予告をしない場合は、30日よりも少ない日数分の平均賃金を支払う必要があります。この手当のことを解雇予告手当といいます。

解雇予告手当の必要がないのは入社から14日以内の試用期間中の者ですので、入社から15日以降の試用期間は通常どおり解雇予告手当が必要になります。

また、試用期間中や試用期間が終わって本採用をしないことによる解雇は、正社員の解雇より幅広く認められるとされていますが、試用期間中であればきちんとした理由もなく簡単に解雇できるわけではありません。


本採用を拒否する理由として、その人物に応じた客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として認められる必要があります。
日々の丁寧な指導や面談、改善の機会を与えることなどが求められます。

有期契約社員の試用期間

有期契約社員にも試用期間が設けられることは珍しくありませんが、労働契約法第17条では、「期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」としています。

労働契約法 第17条(契約期間中の解雇等)

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

労働契約法の関連通達(基発0810第2号)によると、「やむを得ない事由」があるかどうかは個別の具体的な事案に応じて判断されるものの、契約期間は労働者と使用者が合意により決定したものなので、遵守されるべきであるとしています。


「やむを得ない事由」は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」よりも厳しく判断されます。

正社員など期間の定めのない労働契約をしている社員を解雇するときよりも、期間の定めがある労働契約をしている有期契約社員を契約期間中に解雇することは難しいです。

そのため、有期契約社員に試用期間を設ける場合、本採用拒否をすることは期間の定めがない労働者よりもハードルが高いことに留意が必要です。

【助成金】キャリアアップ助成金の変更について


重点支援対象者とは

キャリアアップ助成金が、2025年4月から一部変更されます。
大幅に変更になりましたので、要注意です。

重点支援対象者
 有期→正規 80万円(60万円)
 無期→正規 40万円(30万円)
重点支援対象者以外
 有期→正規 40万円(30万円)
 無期→正規 20万円(15万円)
 ( )は大企業の助成額

重点支援対象者とは
 a 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
 b 雇入れから3年未満で、次の①②いずれにも該当する有期雇用労働者
  ①過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下
  ②過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
 c    派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
 ※雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働者とみなします。



 

 

 

 

 

 

 

 

【労働者派遣】派遣料金交渉について派遣元・派遣先のリーフレットが公開されました


派遣先は労働者の公正な待遇確保のため、派遣料金について配慮義務があります。

厚生労働省から派遣元・派遣先会社に向けてのリーフレットが公開されました。

内容は「派遣労働者の公正な待遇確保のため、派遣元・派遣先の連携・協力をお願いします」となっています。派遣労働者の公正な待遇確保について、派遣元からの派遣料金交渉には派遣先も配慮を行う必要があります。(派遣法第26条第11項)、派遣先は派遣契約締結時だけでなく、更新時など、その後の時期にも配慮をする必要があり、派遣元からの交渉に対して一切応じない場合には行政指導の対象となり得ます。リーフレット発表の背景として、派遣賃金の労使協定方式では、近年、派遣労働者に支払うべき一般賃金水準が上昇傾向にあり、派遣元は法律により上昇した賃金基準額を派遣労働者に支払う必要があります。派遣元が賃金基準額の上昇により派遣先に派遣料金の賃上げ交渉を行うが、基準賃金の上昇分以下の賃上げにとどまることや、交渉のテーブルに着かないなど、派遣先が派遣元に対して不当な扱いを行う事例でも、派遣先からの仕事がなくなると困る派遣元が受け入れるしかない、と言うような状況等が考えられます。

派遣元会社からの適切な交渉要求に応じない際は、派遣先会社が行政指導の対象となる事を認識していない派遣先会社も多いと思われます。派遣先会社も派遣労働者の待遇に対して配慮義務を行う必要があることにご留意ください。

【労務管理】65歳以降の介護保険料、医療費の自己負担割合と在職老齢年金制度


65歳以降の介護保険料、医療費の自己負担割合、在職老齢年金制度についてまとめてみます。

介護保険料

40歳から64歳まで

40歳から64歳までは、介護保険第2被保険者として、健康保険料と一緒に介護保険料を納めます。
勤務先で社会保険に加入している場合、40歳から64歳までは給与から天引きされて支払うかたちになっています。

65歳以降

65歳以降は介護保険第1号被保険者となるので、勤務先から給与を支払われる場合でも、65歳以降は給与から天引きされなくなり、個人で介護保険料を市区町村へ納めるようになります。
原則として年金から天引きされますが、年金受給額が一定額未満等の場合は納付書で支払ったり口座振替をしたりするようになります。

医療費の自己負担割合

病院等を受診したときに支払う医療費の自己負担割合は、年齢によって次のように定められています。(令和7年3月1日時点)

6歳(義務教育就学前)未満自己負担割合2割
70歳未満自己負担割合3割
70歳から74歳自己負担割合2割、ただし現役並み所得者は3割。
75歳以上自己負担割合1割。
ただし、現役並み所得者以外の一定所得以上の人は2割。現役並み所得者は3割。
70歳から74歳の間

70歳から74歳の間の医療費の自己負担割合は、所得に応じて2つに別れています。

勤務先で健康保険に加入している場合

  • 標準報酬月額が28万円未満の方は、自己負担割合2割※
  • 標準報酬月額が28万円以上の方は、自己負担割合3割

※誕生日が昭和19年4月1日生まれ以前の場合の一部負担金等の軽減特例措置があります。

標準報酬月額というのは、勤務先で支払う社会保険料の基礎となる金額です。入社して初めて社会保険に加入した時や毎年の標準報酬決定の時などに勤務先から通知されます。

国保の場合

原則として住民税課税所得145万円以上の場合、3割負担になります。

※収入合計額による例外もあります。

また、3割負担に該当する場合、医療費が高額になった場合の上限額(高額療養費の自己負担限度額)が標準報酬月額や課税所得によって3つに分かれます。

画像は厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」より

75歳以上

75歳以上になると、医療費の自己負担割合は所得に応じて3つに別れます。

現役並み所得者住民税課税所得145万円以上
※収入合計額や生年月日による例外もあります。
自己負担割合3割
一定以上所得者住民税課税所得が28万円以上で、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯の場合200万円以上、後期高齢者が2人以上の場合計320万円以上自己負担割合 2割
※2割負担の場合、令和7年9月30日までは1か月の外来医療費の配慮措置があります。
一般住民税課税所得28万円未満(「一定以上所得」以外)自己負担割合 1割

3割負担に該当した場合、医療費が高額になった場合の上限額(高額療養費の自己負担限度額)は課税所得額によって3つに分かれます。

画像は兵庫県後期高齢者医療広域連合「後期高齢者医療制度のご案内」より

在職老齢年金(給与と老齢年金の調整)

老齢厚生年金は、受給権がある方は原則として65歳から受給できます。

老齢厚生年金を受給しながら働いている方が勤務先で厚生年金保険に加入している場合、給料と年金の合計額に応じて年金の支給額が調整される場合があります。

老齢厚生年金の「基本月額」と
「総報酬月額相当額」の合計が
「50万円」以下の場合
全額支給
老齢厚生年金の「基本月額」と
「総報酬月額相当額」の合計が
「50万円」を超える場合
次の計算式によって調整された額が支給されます。
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2
  • 50万円は、令和6年度の支給停止調整額です。
  • 「基本月額」は、配偶者や子どもなどを扶養している場合に追加される「加給年金額」を除いた老齢厚生年金の報酬比例部分の月額です。
  • 「総報酬月額相当額」は、おおざっぱにいうと、その月以前1年間の年収を12で割った額のようなものです。具体的には、勤務先の標準報酬月額に、その月以前1年間に支払われた標準賞与合計額を12で割った金額を加えたものです。

その他、厚生年金基金に加入していた期間がある場合など別途細かい計算のルールが定められています。

支給額が調整されている場合は、「総報酬月額相当額が変わった月」や「退職日の翌月」に調整額の見直しとなります。退職して1カ月以内に再就職して厚生年金保険に加入した場合は調整額の見直しがされません。

【労務管理】育児時短就業給付金


令和7年4月1日から、雇用保険に加入している労働者が『2歳未満の子を育てるため』に『所定労働時間を短くして働いた』場合、賃金が低下するなどの一定の要件を満たすと「育児時短就業給付金」を受けられるようになります。

育児時短就業給付金の対象になる人

誰が『2歳未満の子を育てるため』に『所定労働時間を短くして働いた』雇用保険に加入している労働者
どのような場合育児休業給付を受けている育児休業が終わったあと、続けて、育児時短就業を開始した場合。
※ 育児休業が終わったあと、育児時短就業を開始するまでの間が14日以内の場合を含みます。

または

育児時短就業を始める前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月ある場合。
※賃金支払い基礎日数が11日以上ない場合は、労働時間数が80時間以上ある月もカウントされます。

育児時短就業給付金の対象になる働き方

労働者からの申し出によって1週間の所定労働時間を短くした場合に対象となります。
1日の労働時間は変わっていなくても、日数を減らしたため1週間の所定労働時間が短くなった場合も対象です。

また、変更後の所定労働時間に決まりはないので、個別のケースによってどれくらい短くしてもOKです。※
育児・介護休業法で決まっている所定労働時間の短縮措置のほか、短時間正社員やパートタイム労働者等になったことで1週間の所定労働時間が短くなった場合にも対象となります。

※短縮後の所定労働時間が週20時間未満となる場合は、子が小学校就学までに週20時間以上の所定労働時間となることが前提であると就業規則等の書面で確認できる場合のみ対象になります。

  • フレックスタイム制の場合は、清算期間の総労働時間を短くするときは対象になります。清算期間の総労働時間は変更しないで、単にフレキシブルタイムの勤務を行わずに勤務時間を減らす場合は対象になりません。
  • 変形労働時間制の場合は、対象期間の総労働時間を短くするときは対象になります。
  • 裁量労働制の場合は、みなし労働時間を短くするときは対象になります。
  • シフト制の場合は、実際の労働時間で1週間の平均労働時間を計算し、短縮されていることが確認できるときは対象となります。

育児時短就業給付金の支給額

原則として、育児時短就業中の各月に支払われた賃金の10%が支給額です。1カ月毎の給与がどれくらい減っているかによって支給率が変わります。

【原則】
支給対象月に支払われた賃金が、育児時短就業を始める前※の90%以下の場合
支給対象月に支払われた賃金額 × 10%

※育児時短就業を始める前の賃金は、育児時短就業開始時賃金月額と呼ばれるもので、計算方法が決まっています。
具体的には、育児時短就業を始める前の直近6カ月の賃金合計を180で割って30を掛けた額です。
育児休業給付を受けていた育児休業から引き続いて育児時短就業をした場合は、育児休業給付の計算に使われた日額で計算されます。

支給対象月に支払われた賃金が育児時短就業を始める前の90%を超えた場合は、調整された10%未満の支給額や限度額との差額が支給されるようになります。2025年7月31日までの支給限度額は459,000円です。

また、支給対象月に支払われた賃金が育児時短就業を始める前の100%以上の場合や、支給限度額以上等の場合には、給付金は支給されません。

支給申請

支給申請は、原則として2か月ごとに対象者を雇用している事業主がハローワークで行います。ただし、対象者が希望する場合は対象者自ら支給申請をしたり、1カ月毎に支給申請をすることもできます。

【労務管理】ストレスチェックが全ての事業場で義務化の方針が決定


こころの耳 でメンタルヘルス対策を参考に

厚生労働省は、これまでは努力義務であった従業員数が50人未満の小規模事業所に対しても、働く人の「ストレスチェック」を義務化する方針を決定しました。
具体的にいつから義務化されるかについては協議、検討が行われていきます。

全ての事業場でストレスチェックを行う必要が出てきた理由として、メンタルヘルス不調による患者が急速に増加していることが考えられます。最近は弊社でもメンタルヘルス不調の方が本当に増えたと実感しています。弊社の顧問先会社からも毎月のように「従業員が精神的な病で出勤できなくなった」とご相談を受けるようになりました。

厚生労働省のストレスチェック、メンタルヘルス対策のページで【こころの耳】というサイトがあります。

「こころの耳」は、働く方やそのご家族、職場のメンタルヘルス対策に取り組む事業者の方などに向けて、メンタルヘルスケアに関するさまざまな情報や相談窓口を提供している、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。

事業者向けにストレスチェック制度への対応、メンタルヘルス対策についや、働く労働者の方向けには、5分で出来るセルフストレスチェック、5分研修シリーズとして、働く労働者の方向けに「しんどいときに職場ですぐできるセルフケア」など短い時間の動画などがあり事業者側、働く労働者の方側にも有益なサイトとなっています。
メンタルヘルス不調を起こす原因は様々ですが、事業者の方はその対策や予防について、働く方は自身のストレスチェックやストレスを溜めない方法などについてご参考になると思います。

【労務管理】再就職援助計画とは


再就職援助計画とは

事業の縮小等で、一定期間内に相当数の労働者の離職が見込まれる場合、事業主は、離職する労働者に対して再就職の援助に努める義務があります。
事業主は最初の離職者が生じる日の1か月前までに「再就職援助計画」を作成してハローワークに提出し、認定を受けなければいけません。

政府は、認定された再就職援助計画に基づいて、労働者の再就職の促進のための取り組みをする事業主に対して必要な助成や援助を行います。また、該当する労働者の再就職の促進にも努めます。

再就職援助計画を作成しなければいけない場合

経済的な事情によって、『1つの事業所』で『1カ月に30人以上の離職者を生じさせる事業規模の縮小等』をしようとする場合に、再就職援助計画を作成する必要があります。
また、離職者が1か月に30人未満の場合にも、任意で再就職援助計画を作成することができます。

事業規模の縮小の理由には、事業の全部の廃止のほか、事業規模・事業活動の縮小や、事業の転換・再編が含まれます。

再就職援助計画に記載する内容

再就職援助計画に記載する内容は次のような内容です

  1. 事業の現状(事業所数や常時雇用する労働者数など)
  2. 再就職援助計画作成に至る経緯(具体的な理由)
  3. 計画対象労働者の氏名
  4. 再就職援助のための措置(労働者の再就職を援助するために事業主が何をするか)
  5. 労働組合等の意見

再就職援助計画対象労働者証明書

事業主が再就職援助計画の認定を受けると、ハローワークから対象労働者ごとに「再就職援助計画対象労働者証明書」が発行されます。
さらに、再就職援助計画の認定を受けた事業主が中小企業再生支援協議会等による事業再生・再構築・転廃業の支援を受けている等の一定の要件に該当する場合、ハローワークでは「再就職援助計画対象労働者証明書」に「特例対象者」としての記載をします。

「特例対象者」を雇い入れることは、雇い入れた再就職先の事業主が「早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)」を申請する場合に優遇助成を受けられる要件になります。そのため、特例対象者について就職促進が図られることになります。

再就職支援を行う事業主への支援策

再就職支援を行う事業主への支援策は次のようなものがあります。

  • 2025.2月時点の内容です。
  • 令和6年4月1日以降に提出された再就職援助計画等の対象者を雇い入れた場合。

早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)

再就職援助計画を作成した事業主が、対象となった従業員に対して再就職の支援を行う場合に助成されます。

(1)再就職支援

離職する労働者の再就職支援を職業紹介事業者に委託し、一定期間内に再就職させた場合に、委託費用の4分の1~5分の4が助成されます。

さらに、再就職支援の一部として訓練を実施した場合の上乗せ(訓練加算として訓練実施にかかる委託費用×2/3の額。上限10万~50万円)や、再就職支援の一部としてグループワークを実施した場合の上乗せ(グループワーク加算として3回以上実施で1万円)があります。

1事業所につき1年度500人が上限です。

画像は厚生労働省HPより
(2)休暇付与支援

離職することが決まっている労働者に求職活動のための休暇を与えた場合、休暇1日当たり5,000円(中小企業の場合は8,000円)が助成されます。上限180日分。

さらに、対象者が離職の日の翌日から1か月以内に再就職できた場合、1人につき10万円が加算されます。

(3)職業訓練実施支援

再就職のための訓練を教育訓練施設等に委託して実施する場合、訓練実施にかかる委託費用の4分の3が助成されます。上限額10万~50万円。
賃金助成は1時間あたり960円(中小企業以外は480円)です。

※助成金の申請にはその他細かい要件があります。事前によく要件をご確認ください。

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)

再就職援助計画の対象者等を、離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として新たに雇い入れ、前の賃金よりも5%以上上昇させた事業主に助成されます。

早期雇入れ支援
  • 通常助成・・・支給対象者1人につき30万円が支給されます。
  • 優遇助成・・・「特例対象者」を雇い入れた場合、支給対象者1人につき40万円が支給されます。
人材育成支援

早期雇い入れ助成の対象者に、雇い入れ日から6か月以内にOFF-JTやOJTの訓練をした場合、次の額の賃金助成や経費助成が上乗せされます。

画像は厚生労働省HPより

※助成金の申請にはその他細かい要件があります。事前によくご確認ください。

出向・移籍のマッチング支援(公益財団法人産業雇用安定センター)

公益財団法人産業雇用安定センターで、事業主に対する出向・移籍に関する相談・マッチングなどの支援や、雇用調整の対象となった従業員にキャリアコンサルティングやアドバイスを行って貰えます。センターの利用は無料です。

【労務管理】退職や解雇についての証明書


退職証明書

労働者が退職する場合で、労働者から次の内容の証明書を求められたときは、使用者は遅滞なく「退職証明書」を作成して交付しなければいけません。

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)

なお、労働者の請求しない事項は記入してはいけません。

※ひな形のご利用は、利用者自身の責任において行ってください。ひな形のご利用により生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いません。

解雇理由証明書

労働者を解雇する場合で、解雇予告日から退職までの間に労働者から『解雇の理由』について証明書を求められたときは、使用者は遅滞なく「解雇理由証明書」を作成して交付しなければいけません。


なお、退職日以降に解雇の理由について証明を求められた場合は、退職証明書を交付します。


また、解雇を予告した日以降に、労働者が解雇ではない理由で退職した場合には、その労働者の退職日以降は解雇理由証明書を発行する必要はありません。

※ひな形のご利用は、利用者自身の責任において行ってください。ひな形のご利用により生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いません。


※労働者の請求しない事項は記入してはいけません。
※解雇理由証明書は、解雇の有効性を判断する上で重要な証拠となります。慎重に作成してください。
※解雇の理由は客観的に合理的で、社会通念上相当であると認められる必要があります。

解雇通知書

解雇は口頭で伝えることもできますが、労働者に正しく伝わらないことによるトラブルを避けるためにも、文書で伝えることをお勧めします。

なお、労働者を解雇しようとする場合は、少くとも解雇日の30日前までに予告をしなければいけません。
30日前に予告をしない場合は、30日よりも少ない日数分の平均賃金(解雇予告手当)を解雇する日までに支払う必要があります。
ただし、火災や震災などの自然災害によってどうしても事業の継続ができなくなった場合や労働者の重大または悪質な行為で解雇する場合で労働基準監督署から解雇予告除外認定を受けたときは、解雇予告手当を支払う必要がありません。

 

※ひな形のご利用は、利用者自身の責任において行ってください。ひな形のご利用により生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いません。

【労働者派遣】令和7年度対応 派遣労使協定のイメージが更新されました


労働局でも労使協定に不備がないか指導強化していく方向です

令和7年1月31日に令和7年度対応の労使協定イメージが公開されました

労使協定記載方法に大きな変更点は特に無く、昨年度より変更となった交通費を基本賃金に含めて支給する場合の額が72円から73円に変更になった点や、令和6年から令和7年への表記変更、一般賃金額を令和7年度に反映して計算された別表などが変更点となっているようです。

令和7年度の労使協定を作成する際にはこちらのイメージを参考にして、自社の昨年度の労使協定との変更点を注視してみてください。

また、東京労働局の発表では、派遣労使協定の賃金額に不備がないか指導強化しているとの発表もありました。新設した手当などに不適切な会社がみられるとのことで、今後は集団指導等で呼びかけを強化していくとのことです。

労使協定方式で定めた賃金は、有効期間中の派遣労働者の賃金額を決定する事となり派遣労働者の生活に直結する極めて重要な部分であることから不備の無い金額設定にしなければなりません。恣意的に賃金額を下げて設定することはもちろん、派遣会社が理解せず不備がある場合も是正指導の対象となります。

労使協定方式の派遣労働者の賃金額は、毎年更新される「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(一般賃金)の額」と同等以上でなければならない事から毎年の見直しが必要になります。派遣業の許可を取得した会社様でも、労使協定をどう作成すればよいのか?これで問題なく作成できているのだろうか?と、悩まれている会社様もいらっしゃると思います。弊社では労使協定作成においてもサポートする顧問契約プランがございます。一般賃金額の考え方や、自社の労働者の賃金額の設定方法などをアドバイスし、労使協定完成までサポートさせていただいております。

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