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【労務管理】令和8年8月から高額療養費制度が変わります


令和8年8月から高額療養費制度の見直しが行われ、標準報酬月額に応じたすべての区分ごとの月額上限額が上がります。
ただし、複数月にわたって医療費が高額となった「多数回該当」の場合の金額は令和8年7月までと変更がなく、さらに新たに「年間上限(毎年8月から翌年7月までの12か月間の合計)」が設けられています。

「年間上限」が設けられたことで、毎月一定の医療費が継続している場合や入院・手術等で極めて高額な医療費が発生した場合など、年間の自己負担額が軽減されるケースも想定されています。

高額療養費制度とは

病院等に長期入院したり治療が長引いたりする場合、医療費の自己負担額が高額となってしまいますが、健康保険法では、自己負担額が著しく高額になった場合に支給される高額療養費制度が設けられています。

高額療養費は、年齢や所得区分等に応じた一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される制度です。
なお、マイナ保険証を利用したり、限度額適用認定証を提示したりすることで、医療機関窓口での支払金額を自己負担限度額までとすることもできます。
※保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。

標準報酬月額とは

勤務先で社会保険に加入している被保険者について、給与の金額に応じて一定の幅で区分し、決定されるものです。
給与には、基本給のほか、残業代や通勤手当なども含まれます。
標準報酬月額は、入社等により社会保険に加入したときのほか、毎年の定時決定や、固定的賃金の変更に伴う随時改定などの際に決定されます。

協会けんぽの場合は次のように変更になります

70歳未満の方について

区分 令和8年7月まで 令和8年8月以降

多数該当

(変更なし)

年間上限

(令和8年8月から新設)

区分ア

標準報酬月額83万円以上

252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% 140,100円 168万円

区分イ

標準報酬月額53万~79万円

167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% 93,000円 111万円

区分ウ

標準報酬月額28万~50万円

80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% 44,400円 53万円

区分エ

標準報酬月額26万円以下

57,600円 61,500円 44,400円

53万円

※標準報酬月額が15万円以下の場合は、年間上限41万円が適用され令和9年8月以降に償還払いされます。

区分オ

住民税非課税世帯等

35,400円 36,900円 24,600円 29万円
多数該当とは

療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けたり限度額適用を受けたりした場合には、4ヵ月目から自己負担限度額は「多数該当」の金額になります。

「区分ア」または「区分イ」に該当する場合

「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。

70歳以上の方について

区分 令和8年7月まで 令和8年8月以降

多数該当

(変更なし)

年間上限

(令和8年8月から新設)

現役並みⅢ

標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方

252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% 140,100円 168万円

現役並みⅡ

標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方

167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% 93,000円 111万円

現役並みⅠ

標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方

80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% 44,400円 53万円

一般

標準報酬月額26万円以下で低所得者以外の方

外来 (個人ごと)
18,000円

外来・入院 (世帯)
57,600円

外来(個人ごと)22,000円

外来・入院(世帯)61,500円

44,400円

外来(個人ごと)

216,000円

外来・入院(世帯)

53万円

※標準報酬月額が15万円以下の場合は、年間上限41万円が適用され令和9年8月以降に償還払いされます。

低所得Ⅱ

被保険者が住民税の非課税者で、かつ、現役並み所得者に該当しない方

外来 (個人ごと)

8,000円

外来・入院 (世帯)

24,600円

外来 (個人ごと)

11,000円

外来・入院 (世帯)

25,700円

24,600円

外来(個人ごと)

96,000円

外来・入院(世帯)

29万円

低所得Ⅰ

被保険者とその扶養家族すべての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がなく、かつ、現役並み所得者に該当しない方

外来 (個人ごと)

8,000円
外来・入院 (世帯)

15,000円

外来 (個人ごと)

8,000円
外来・入院 (世帯)

15,700円

18万円

【労務管理】カスタマーハラスメント対策で事業主がするべきこと


令和8年10月1日から労働施策総合推進法が改正され、職場におけるカスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(令和8年10月1日 施行)
第三十三条 
事業主は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(次条第五項において「顧客等」という。)の言動であつて、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの(以下この項及び次条第一項において「顧客等言動」という。)により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

職場におけるカスタマーハラスメントとは

職場におけるカスタマーハラスメントとは、次のようなものをいいます。

誰が 顧客や取引先、施設の利用者、その他事業に関係がある人
どのような行為

社会通念上許容される範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されること

つまり、顧客や取引先からの非常識な言動によって労働者の就業環境が悪くならないよう、事業主は対策をしなければいけないということです。

なお、職場とは、現場での対応だけでなく、電話やメール、SNSなどインターネット上での言動も含まれます。

社会通念上許容される範囲を超えた言動とは

その要求の内容や言動の態様が社会通念上許容される範囲を超えるものとして、次のような言動が該当する場合があります。

  • 商品やサービスと関係のない過度な要求や、不当な損害賠償請求
  • 暴言や脅迫、人格を否定する発言
  • 長時間にわたる居座り、執拗なクレームなど

一方で、正当な苦情や商品・サービスの改善を求める声まで制限するものではありません。

事業主が講じなければいけない措置

事業主が講じなければいけない措置は、次のようにまとめられます。

事業主の方針等を明らかにして周知をする・カスタマーハラスメントから労働者を保護する旨の方針を明確にして労働者に周知・啓発する

・カスタマーハラスメントの内容や、対応方法をあらかじめ労働者に周知する

・特に悪質と考えられるカスタマーハラスメントへの対応方針をあらかじめ定めて、労働者に周知して体制を整備する
カスタマーハラスメントに対する相談体制の整備・事業所内に相談窓口を設置して労働者に周知する

・相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする
カスタマーハラスメントが起きてしまった後の対応・事実関係を迅速かつ正確に確認する

・被害者に対する配慮のための措置を行う

・再発防止に向けた措置を行う
その他・相談者等のプライバシー保護、相談したこと等を理由として不利益な取扱いをしないことをあらかじめ労働者に周知・啓発する。

・自社の労働者が取引先等の他社の労働者に対してカスタマーハラスメントを行った場合は、その取引先等へ必要な協力を行う。等

カスタマーハラスメントへの対応方法

カスタマーハラスメントが起きた時の社内の対応方法としては次のような方法が例として考えられます。

  • 上司にその場の対応の方針について指示を仰ぐ
  • できる限り一人で対応しない
  • 犯罪に該当する可能性がある言動は警察へ通報する
  • 本社・本部等へ情報共有を行って指示を仰ぐ   など

カスハラ対策のマニュアルや規程の作成

カスタマーハラスメント対策について、社内でマニュアルや規程を作成することまでは法律で定められていませんが、実務上は、対応方法を統一し、従業員が安心して対応できるようにするためにも、何らかのマニュアルや規程を整備しておくことをお勧めします。

東京都で公開しているカスタマー・ハラスメント防止のための各団体共通マニュアル

東京都では、カスタマー・ハラスメント防止のための各団体共通マニュアルを公開しています。

東京都 カスタマー・ハラスメント防止のための各団体共通マニュアル 

東京都が公開していますが、全国の事業者でも参考になる内容です。


事業者マニュアルのひな形(Word形式)では、カスタマーハラスメントの定義から基本方針、対応の流れや社内体制などの内容が網羅されているので、ひな形を参考に自社に合わせて使うのも良いと思います。

農林水産省が公開しているカスタマーハラスメント対策ガイドライン

農林水産省では対策ガイドラインや、飲食店のカスハラ対策ガイドブックを公開しており、カラーで非常にわかりやすい資料です。

農林水産省 カスタマーハラスメント対策ガイドライン

労働者への啓発や社内研修資料として使えると思います。


令和8年10月1日の施行までに、相談窓口の設置や対応手順の確認、従業員への周知など、自社の実情に合わせて準備を進めておくことをお勧めします。

【労務管理】社会保険料の保険料調整制度とは


令和9年10月1日以降、短時間労働者が新たに加入対象となる事業所の範囲が段階的に拡大されます。
それに伴い、令和8年10月1日以降、将来の適用拡大を待たずに、事業主が任意特定適用事業所となった場合は、通算3年間、対象となる従業員の健康保険料・厚生年金保険料を軽減することができます。

保険料調整制度を利用するためには、事業所が任意特定適用事業所となって保険料調整制度の対象となった日から2年以内に、さらに事業主から申し出が必要となります。届書様式や手続きの詳細は、今後公表される予定です。

保険料調整制度の概要

  • 事業主が従業員の保険料の一部を一時的に負担する。従業員は保険料負担が通算3年間軽減される。
  • 被保険者の負担軽減の割合は、対象となる被保険者の標準報酬月額に応じて異なる。
  • 制度利用3年目は軽減割合が半減する。

保険料調整制度を利用した場合の保険料の負担割合

標準報酬月額報酬月額制度利用1~2年目の負担割合
(被保険者:事業主)
制度利用3年目の負担割合
(被保険者:事業主)
~88,000円以下~93,000円未満25:7537.5:62.5
98,000円93,000円~101,000円未満30:7040:60
104,000円101,000円~107,000円未満36:6443:57
110,000円107,000円~114,000円未満41:5945.5:54.5
118,000円114,000円~122,000円未満45:5547.5:52.5
126,000円122,000円~130,000円未満48:5249:51

短時間労働者の標準報酬月額が126,000円を超える場合は保険料調整制度の対象外です。

事業主が一時的に負担した被保険者負担分については、一定期間経過後に調整される仕組みとなっています。また、従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません。

対象となる事業所

令和8年10月1日以降、法律が適用されて特定適用事業所になる前に任意特定適用事業所になると、保険料調整制度の対象となります。
※令和8年9月30日以前に任意特定適用事業所となった場合は対象外

令和9年10月1日以降の短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大スケジュール

令和8年現在、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者は、健康保険・厚生年金保険の加入対象となっています。短時間労働者が加入対象となる事業所を特定適用事業所といいます。

令和9年10月からは企業等の範囲が「厚生年金保険の被保険者数が36人以上の企業等」に拡大され、次のスケジュールで順次対象事業所が拡大されます。

令和9年9月まで被保険者数51人以上の企業等
令和9年10月以降被保険者数36人以上の企業等
令和11年10月以降被保険者数21人以上の企業等
令和14年10月以降被保険者数11人以上の企業等
厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等とは

1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上となることが見込まれる企業等のこと。厚生年金保険の被保険者数は、短時間労働者は含まず、共済組合員を含めて数えます。
法人事業所の場合は、法人番号が同一であるすべての適用事業所の被保険者の総数、個人事業所の場合は適用事業所単位の被保険者数です。

対象となる被保険者

健康保険・厚生年金保険に加入する短時間労働者が、標準報酬月額が126,000円以下の場合に保険料調整制度の対象となります。

短時間労働者とは

「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」等に勤務する次の要件すべてに該当する方を短時間労働者といいます。

  • 1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
  • 学生でないこと

なお、所定内賃金が月額8.8万円以上という要件については、最低賃金以上で週20時間以上働く場合に自動的に所定内賃金が月額8.8万円以上となるため、令和8年10月に撤廃される予定です。

また、2カ月以内の期間を定めて使用される方や臨時に使用される方等は健康保険・厚生年金保険の加入対象から除かれます。

今後確認しておきたい事項

下記の事項を確認し、任意特定適用事業所の申請をするかどうかの検討を進めることをお勧めします。

  • 現在の厚生年金保険の被保険者数
  • 将来的に適用拡大の対象となる規模になる見込みがあるか(厚生年金保険の被保険者数が11人以上または21人以上または36人以上となる見込みがあるか)
  • 週20時間以上勤務するパート・アルバイトが何人いるか
  • 新たに社会保険加入の対象となる従業員がいるか

【労務管理】令和8年10月1日から雇い入れ時の労働条件明示事項が追加されます


令和8年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れた時、労働条件明示事項として、新たに「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる」ことを明示することが必要となります。

(画像は厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」から抜粋)

これはパート・有期法施行規則(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則)が改正され、令和8年10月1日の施行を反映したものです。
第2条第1項4号が追加になります。

(法第六条第一項の明示事項及び明示の方法)
第二条 法第六条第一項の厚生労働省令で定める短時間・有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件に関する事項は、次に掲げるものとする。
一 昇給の有無
二 退職手当の有無
三 賞与の有無
四 法第十四条第二項の規定による説明を求めることができる旨
五 短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
2 事業主は、法第六条第一項の規定により短時間・有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。

令和8年10月1日以降の労働条件通知書の様式

令和8年10月1日以降にパートタイム・有期雇用労働者を採用する場合は、労働条件通知書や雇用契約書の様式を新しい内容にする必要があります。

厚生労働省のHPで令和8年10月1日以降使用する労働条件通知書のひな形が公開されています。

主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)

明示事項の追加は「雇入れ時に交付する労働条件通知書等」が対象

なお、この明示事項の追加は「雇入れ時に交付する労働条件通知書等」が対象です。
令和8年10月1日時点で既に雇用しているパートタイム・有期雇用労働者について、直ちに労働条件通知書を再交付しなければならないものではありません。

同一労働同一賃金ガイドライン等の改正と合わせて確認が必要

同じく令和8年10月1日施行となる同一労働同一賃金ガイドライン等の改正と合わせて確認し、待遇差について説明を求められた際に適切に対応できるよう、正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間の待遇差の内容や理由について整理しておくことも重要です。

【参考】

【労務管理】同一労働同一賃金ガイドライン等の改正について

【労務管理】無期転換ルールと継続雇用の高齢者に関する特例


無期転換ルールとは

無期転換ルールとは、条件を満たした有期労働契約者が使用者に無期雇用への転換を申込むと、使用者はその申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約が成立するルールです。

使用者は申し出を拒否することはできません。

対象者いわゆる契約社員で、労働契約期間の定めがある労働者。
契約社員やパートタイマー、アルバイト、派遣社員など名称は問いません。
ルール有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えるとき、労働者が使用者に申込みをすると、使用者の承諾がなくても、法律上当然に無期労働契約が成立します。

労働者が申込みをできるタイミングは、繰り返し契約期間が更新されて、契約期間が通算5年を超えることになる契約の初日から末日までの間です。

※契約期間と次の契約期間の間に一定期間以上の空白期間(クーリング期間)がある場合、通算契約期間はリセットされます。クーリング期間は、直前の有期労働契約の契約期間に応じて、1カ月から6カ月まで定められています。

無期転換ルールができた背景

有期労働契約者については、雇用が不安定であり、待遇面でも正規労働者と比べて格差があることが指摘されていました。
また、有期労働契約が更新され、長期間働く労働者も少なくないことから、雇用の安定を図る目的で無期転換ルールが導入されました。

無期転換ルールで転換した後の契約内容

「無期転換ルールで転換したらその会社の正社員になれる」というわけではありません。
無期転換ルールで転換した後の契約内容は、労働契約法第18条で次のとおり規定されています。

期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

つまり、無期転換後の労働条件は

  1. 原則として契約期間以外の労働条件は有期労働契約の時と内容と同じ
  2. 別途、就業規則や個別の労働契約などで無期転換後の労働条件を定めていれば、労働条件の変更もできる

ということです。

就業規則や労働協約で無期転換後の条件を定める場合

就業規則や労働協約で無期転換後の労働条件を定めることができます。

就業規則や労働協約は、会社として一定の範囲の労働者に適用されるルールです。

  • 会社は経営計画の中で人件費、人員計画をどのように考えるか。その中で無期転換後の労働者をどのような存在と位置付けるか。
  • 就業規則等で無期転換後の労働条件を定め、労働者に周知する。

無期転換後の労働条件を定めて社内ルールとして定着することで、無期転換を考える有期労働契約者は、自分が無期転換をするかどうか決める判断材料とすることができます。
事前に条件がわかることで、労使トラブル発生の防止にもつながるでしょう。

なお、無期転換後の無期雇用労働者について、就業規則等で定年を定めることは可能です。

個別の労働契約で無期転換後の労働条件を定める

就業規則等に定めがなくても、当事者間で合意があれば、「別段の定め」として労働条件を有期労働契約の時と別のものにすることができます。
逆に、合意されなければ「別段の定め」にならないので、無期転換後も有期労働契約時と同一の労働条件にすることになります。

「別段の定め」の内容を定める場合、法の趣旨を踏まえて公序良俗に反しない内容にする

「別段の定め」の内容は、無期転換ルールの趣旨を阻害する場合や公序良俗に反する場合には、無効と判断される可能性があります。

無期転換後の労働条件として、勤務地や職種の変更が条件となったり、賃金の変更があったり、責任の程度が増えたりといったことが考えられます。しかし、それが合理的な理由であるのか、無期転換ルールの趣旨を阻害しないか、公序良俗に反しないかということは慎重に検討する必要があります。

社会通念上不適切と思われる取扱いをすることで労使トラブルを招くことは企業にとっても大きな損失となりますので、法の趣旨を踏まえた運用が求められます。

継続雇用の高齢者の特例とは

無期転換ルールの特例として「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が定められています。

無期転換ルールの特例の適用を希望する事業主が、特例の対象者について雇用管理に関する特別の措置についての計画を作成し、労働局から認定された場合に、特例の対象者は無期転換権が発生しないことになります。

特例の対象者:

  1. 博士の学位を有する者や公認会計士、医師など、高度専門職を行う有期雇用労働者
  2. 定年に達した後、同一の使用者※に引き続いて雇用される有期雇用労働者

※いわゆるグループ企業などに定年後引き続き雇用される場合も含みます。

継続雇用の高齢者については、事業主が認定を受けた場合、定年を既に迎えている方も特例の対象となります。

ただし、次の場合は特例の対象外となります。

  • 労働者が既に無期転換申込権を行使している場合
  • 他社で定年退職し、その後に雇用された労働者
  • 定年に達しない時点で無期雇用から有期雇用に転換した労働者

特例は、労働局の認定を受けてはじめて適用されます。
定年後再雇用者がいる場合には、無期転換申込権が発生する前に申請状況を確認しておくことが重要です。

継続雇用の高齢者にかかる認定申請(第二種計画認定申請)

定年後継続雇用される有期雇用労働者の無期転換ルールの特例を受けるには、「継続雇用の高齢者にかかる認定申請(第二種計画認定申請)」を労働局に行います。

  • 申請は、本社・本店が行います。
  • 申請の時点で特例の対象となる労働者がいなくても、将来、対象労働者が生じる見込みがあれば申請ができます。
  • 高年齢労働者に対する適切な雇用管理措置を計画します。(高年齢者雇用推進者の選任・職業訓練の実施、作業施設・方法の改善など)
  • 申請時点において、高年齢雇用確保措置を完了します(65歳以上への定年の引き上げ ・希望者全員を対象とした継続雇用制度の導入)
  • 就業規則の写しなど、高年齢雇用確保措置を行っていることが明らかである書類を添付します。

関連:【労務管理】無期転換申込権が発生する有期労働契約更新時の明示義務

【労務管理】同一労働同一賃金ガイドライン等の改正について


同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金とは、同じ企業内において、いわゆる正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(以下、「有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者」のことを言います)との間の『不合理な待遇差の解消』を目指すものです。

次の法律の中で内容が定められています。

  • 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下、「パートタイム・有期雇用労働法」と書きます)
  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、「労働者派遣法」と書きます)

不合理な待遇差の解消の取組をすることで、「どのような雇用形態でも納得が得られる処遇」「多様な働き方を自由に選択」ができるようにします。

同一労働同一賃金が定められた背景

非正規労働者の待遇は、一般に、正社員と比べて働き方や貢献度合に見合ったものとならず、低くなりがちな状況でした。
そのため、それぞれの企業において、正社員と非正規社員の働き方の実態を考慮して雇用管理の改善に関する措置を講じ、賃金や教育訓練、福利厚生などにおいて差別的取扱いや不合理な待遇の差をなくし、均等・均衡待遇の確保を推進することが法律で定められました。

同一労働同一賃金のルールが変わります(令和8年10月1日施行)

パートタイム・有期雇用労働法の第8条では、すべてのパートタイム・有期雇用労働者を対象として、不合理な待遇の禁止が定められています。

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
(不合理な待遇の禁止)
第八条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

いわゆる正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(パートタイム労働者等)の待遇の違いが不合理と認められるかどうかの判断は、基本給、賞与、各種手当、休暇などの個々の待遇ごとに、その待遇の『性質・目的』に照らして適切と認められる事情を考慮して判断するものとされています。

待遇差が不合理かどうかは、各待遇の「性質・目的」を踏まえつつ、次の事情を考慮して判断されます。

  1. 職務内容
  2. 職務内容・配置の変更範囲
  3. その他の事情(職務の成果、能力、経験、合理的な労使慣行、労使交渉の経緯等)

これについて、厚生労働省では『同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)』を定め、どのような待遇差が不合理であるか、どのような待遇差が不合理ではないのか、原則となる考え方や具体例を示しています。

今回、同一労働同一賃金の施行から5年が経過したことを踏まえて、ガイドラインを含む省令・指針が改正され、令和8年10月1日から施行・適用されることとなりました。これまでの最高裁判決の内容も踏まえて追記されたかたちです。

ガイドラインに新たに追加された内容

賞与

賞与は「労務の対価の後払い」「功労報償」「生活費の補助」「労働者の労働意欲の向上」など、様々な性質や目的が含まれうるものです。
これらが非正規社員にも当てはまるにも関わらず、正社員との間の職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があります。

退職手当

退職手当は「労務の対価の後払い」「功労報償」等の様々な性質や目的が含まれうるものです。
これらが非正規社員にも当てはまるにも関わらず、正社員との間の職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められる可能性があります。

無事故手当

正社員と業務の内容が同じ非正規社員には、正社員と同一の無事故手当を支給しなければいけません。

家族手当

労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規社員には、正社員と同一の家族手当を支給しなければいけません。

なお、配偶者の収入が一定以下の場合に支給されるいわゆる「配偶者手当」については、特に女性の短時間労働者の就業調整の要因となっていると指摘されていることから、労使の話合いによって、働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれています。

住宅手当

住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と同一の転居を伴う配置の変更がある非正規社員には、正社員と同一の住宅手当を支給しなければいけません。

なお、住宅手当が転居を伴う配置の変更の有無にかかわらず支給されるものについても、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、住宅手当の性質や目的を考慮して、不合理と認められる相違がないようにしなければいけません。

福利厚生施設

非正規社員には、正社員と同一の給食施設、休憩室及び更衣室の利用を認めなければいけません。
また、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても、不合理と認められる相違を設けてはいけません。

病気休職

正社員に病気休職制度がある場合、非正規社員にも同様に病気休職の取得を認めなければいけません。有期雇用労働者については、労働契約の期間を踏まえた対応が必要です。
さらに、正社員に病気休職期間の給与保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規社員にも同一の給与保障を行わなければいけません。

夏季冬季休暇

非正規社員にも、正社員と同一の夏季冬季休暇を付与しなければいけません。

褒賞

一定の期間勤続した労働者に付与する褒章がある場合、正社員と同一の期間勤続した非正規社員にも同一の褒賞を付与しなければいけません。

「人材確保・定着のため」だけでは待遇差の理由にならない

いわゆる「正社員人材確保論」として、正社員の確保や定着を理由に、正社員と非正規社員の待遇に差を設ける考え方があります。しかし、待遇差が不合理かどうかは、短時間・有期雇用労働法第8条に基づき、客観的・具体的な実態に照らして判断されます。そのため、「人材の確保や定着を図る目的」という理由だけで待遇差を設けることは認められません。

また、定年後に再雇用された契約社員と正社員との間の待遇差についても、「定年後再雇用」であることだけを理由に、待遇差が当然に認められるわけではありません。

待遇差の解消は、原則として正社員の不利益変更によらないことが求められる

不合理と認められる待遇の相違があった場合、その解消等にあたっては、正社員の労働条件を不利益に変更することなく、非正規社員の待遇の改善を図ることが求められることが追記されました。

その上で、待遇差の解消をするため、やむを得ず就業規則を変更することにより労働条件を不利益に変更する場合は、労働契約法第9条の規定に基づき、原則として労働者と合意する必要があります。

労働者と合意せず、就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更する場合は、労働契約法第10条に基づき、その変更が事情に照らして合理的である必要があります。
ただし、基本的に、こうした対応は、望ましい対応とはいえないとされています。

無期雇用フルタイム労働者、多様な正社員も均衡を考慮すべき

正社員と所定労働時間が同じ無期雇用労働者は、短時間・有期雇用労働法の対象ではありませんが、就業の実態に応じてガイドラインで定める均衡を考慮すべきであることが示されています。
なお、均衡の考慮に当たっては、勤務地限定正社員や職務限定正社員、短時間正社員についても同様です。

今回の改正内容を踏まえて、自社のパートタイム・有期雇用労働者や派遣労働者の待遇について、あらためて点検・見直しが求められます。

【令和8年6月の派遣事業報告書提出について】


【作成方法のアドバイスをする顧問契約プランもございます】

6月の派遣業年度報告の時期が近づいてきました。
派遣元会社の中には、そろそろ集計作業を始めるか、6月に入ってからまとめて集計しようか、または毎月ちゃんと集計しているので報告書の記載は問題ない、という様々な会社があると思います。

令和8年度の6月派遣報告書は、昨年と様式や記載方法に変更は無いのでこれまで同様に進められると思います。

許可を取得して初めての報告書提出という会社の担当者の方は、集計や記載事項が多岐にわたるので、ご不明な点もあるかもしれません。

特に雇用安定措置や教育訓練時間の記載などは複雑で理解するまで時間を要するかもしれません。毎年多くのお客様から記載方法についてお問い合わせをいただきます。また、雇用安定措置や教育訓練の箇所は労働局から重点的に確認をされるポイントでもあります。

弊社は派遣業に精通した社会保険労務士事務所です。派遣会社専用の顧問契約の中には、
6月の労働者派遣事業報告書の記載アドバイス、確認プランもございます。

法令に沿った正しい報告書を作成したい、記載方法について確認したい、などございましたらお気軽にお問合せください。

【労務管理】算定基礎届の支払い基礎日数について


算定基礎届とは

社会保険に加入している場合、事業主は、毎年、7月1日現在使用している全被保険者と70歳以上被用者について、3カ月間(4月、5月、6月)の報酬月額を日本年金機構に届出します。
これを算定基礎届といいます。

算定基礎届は、実際に支払われている報酬と、既に決定されている標準報酬月額との間に大きな差が生じないようにすることを目的に、毎年行われるものです。

厚生労働大臣はこの届出内容に基づいて標準報酬月額を決定します。決定された標準報酬月額は、随時変更がない限り、当年の9月から翌年8月までの各月に適用されます。

3カ月間(4月、5月、6月)の報酬月額とは

4月~6月に『実際に支払われた報酬』を記載します。
細かく言うと、4月~6月に実際に支払われた報酬のうち、支払基礎日数が17日以上(※1 特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)の報酬を記載します。

たまに「社会保険料を高くしないために4~6月は残業をしないで給与を上げないようにしたほうがいい」と言われる場合がありますが、これは必ずしも適切ではありません。
なぜなら、算定基礎届は「支払日ベースで判定される」からです。

例えば、『末締・翌月25日払い』の勤務先であれば、算定基礎届に記載する給与は次のようになります。

4月

3月1日~3月31日勤務分
5月

4月1日~4月30日勤務分

6月

5月1日~5月31日勤務分

つまり、実際には3月~5月に働いた内容が反映されるようになります。

給与の締日・支払日は勤務先によって異なりますので、気になる場合はご自身の勤務先の締日・支払日を確認してください。

※1 特定適用事業所に勤務する短時間労働者とは

特定適用事業所とは、1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上※2となることが見込まれる企業等のことです。

※2 企業規模要件は、令和7年の年金制度改正法によって、2035年10月にかけて段階的に企業規模要件が引き下げられることが予定されています。

51人以上の企業

現在

36人以上の企業 2027年10月から
21人以上の企業 2029年10月から
11人以上の企業 2032年10月から
10人以下の企業 2035年10月から

そして、次のすべての要件を満たす場合、「特定適用事業所に勤務する短時間労働者」に該当します。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
  3. 学生でないこと

夜勤労働者で日をまたぐ勤務を行っている場合の支払い基礎日数について

算定基礎届では、支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)の報酬を記載しますが、夜勤労働者で日をまたいでいる場合、「いつからいつまでを1日と考えるのか?」と疑問に思う場合があります。

令和5年6月27日の日本年金機構事業管理部門担当理事あて厚生労働省年金局事業管理課長通知(「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について〔健康保険法〕)では次のように記載されています。

夜勤労働者で日をまたいで労務に就いている場合は、以下のように取り扱う。

①夜勤勤務者が『月給』で給与の支払いを受けている場合
→各月の『暦日数』を支払基礎日数とする。

②夜勤勤務者が『日給』で給与の支払いを受けている場合
→給与支払いの基礎となる『出勤回数』を支払基礎日数とする。ただし、変形労働時間制を導入している場合は、下記の③に準じて取り扱う。

③夜勤勤務者が時給で給与の支払を受けている場合
→各月の『総労働時間をその事業所における所定労働時間で除して得られた日数』を支払基礎日数とする。
なお、勤務中に仮眠時間等が設けられている場合、これを労働時間に含めるか否かは、その事業所の業務の実態、契約内容、就業規則等によって仮眠時間等が給与支払いの対象となる時間に含まれているかどうかを確認することで判断されたい。

月給、日給、時給によって考え方が変わるので注意が必要です。

【労務管理】子ども・子育て支援金とは


『子ども・子育て支援金』は、こども未来戦略の具体化に向けたもので、子育て世代を支えるための新しい制度です。

被用者保険、国保、後期高齢者医療などすべての医療保険の加入者から徴収されます。

被用者保険の場合の支援金率

令和8年度の支援金率は0.23%(労使折半)で、令和8年4月保険料(5月納付分)から開始になっています。
支援金は健康保険料と合わせて徴収され、賞与も支援金の対象となります。

なお、育児休業期間中や産休期間中は、健康保険料や厚生年金保険料と同様に、支援金も免除されます。

社会保険料を翌月徴収している会社の場合

4月分の保険料は5月払いの給与から控除し始めます。

(例)
給与が末締め・翌月25日払いの場合
5月25日払いの給与(4月分)から控除開始

4月に賞与を支給する場合

賞与を4月に支給する場合は、健康保険料等と同様に支援金も支払日ベースで適用されます。
そのため、4月支給の賞与から控除が必要となるため注意が必要です。

給与明細への記載

保険料額の内訳として子ども・子育て支援金額を示すことは法令上の義務にはなっていません。
ただし、こども家庭庁では、制度の趣旨を踏まえて内訳を記載するよう協力を呼び掛けています。

実際、協会けんぽの場合は都道府県毎の保険料額表で「子ども・子育て支援金」を分けて記載しており、お使いの給与計算ソフトの設定にもよるかと思いますが、分けて記載した方が控除額を確認しやすいでしょう。

子ども・子育て支援金を財源とする施策

子ども・子育て支援金を財源とする施策は次のようなものです。

地方自治体が窓口となるもの

・妊婦のための支援給付

妊婦等包括相談支援事業と組み合わせて2回に分けて支給。妊婦1人5万円、出産後子ども1人につき5万円。

・児童手当の拡充
所得制限の撤廃、支給期間を高校生年代まで延長、第3子以降の支給額を3万円に増額、支払回数を年6回に増加。

・こども誰でも通園制度
今までの幼児教育・保育給付に加えて、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付。

雇用保険

・出生時休業支援給付
一定の要件を満たすことで、出生時育児休業給付金と合わせて支給。

・育児時短就業給付
2歳未満の子を養育するため、所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと支給。

国民年金第1号

被保険者の育児期間に係る保険料免除。 ※令和8年10月から施行予定

『子ども・子育て拠出金』との違い

『子ども・子育て支援金』と非常に名前が似たもので『子ども・子育て拠出金』というものがあります。
『子ども・子育て拠出金』は、児童手当制度が次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することにより、将来の労働力の維持、確保にもつながる効果が期待されるとして、昭和46年度に創設されました。現在では、児童手当の他、放課後児童クラブ、延長保育事業、病児保育事業などに充当されています。

被保険者の負担はなく、事業主のみが負担しており、令和8年4月以降も変わりません。
拠出金率は、法定上限0.40%、適用率は0.36%で、協会けんぽの場合、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に、拠出金率(0.36%)を乗じて得た額の総額を納付するかたちになっています。

【労務管理】雇用保険料率を変更する時期


令和8(2026)年度 雇用保険料率が公表されました。

令和8年度の雇用保険料は、昨年度よりも労使合わせて0.1%下がります。

  雇用保険料率の労使合計 (うち労働者負担) (うち事業主負担)
一般の事業 13.5/1000 5/1000 8.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 15.5/1000 6/1000 9.5/1000
建設の事業 16.5/1000 6/1000 10.5/1000

雇用保険料のうち、労働者負担分は毎月の従業員の給与から控除します。

事業主は、毎月の給与から控除した労働者負担分の雇用保険料と事業主負担分を、毎月ではなく年度更新のタイミングでまとめて申告・納付します。

労働保険料の支払い

労働保険(労災保険・雇用保険)の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度に確定申告をして精算します。

毎年、前年度の確定保険料(概算保険料で支払った差額の精算)と当年度の概算保険料を併せて申告・納付するようになります。

納付は原則として各年度1回(現金納付の場合は原則として6月1日から7月10日までに申告・納付)ですが、一定の要件を満たしたり、労働保険事務組合に委託している場合は3回に分割納付できます。

また、口座振替にした場合は現金納付に比べて保険料の引き落としまでに約2か月のゆとりができます。

労働保険の年度の考え方

労働保険の保険料は、毎年『4月1日から翌年3月31日までの1年間』を単位として計算します。

ここで実務的に迷うのが、4月1日から3月31日を「支払日」で考えるのか「締日」で考えるのかです。

3月31日までに「支払義務が具体的に確定した賃金」を含む

労働保険の年度は、4月1日から翌年3月31日までの1年間に「支払いが確定しているが、実際の支払いは同年4月1日以降になる賃金も含む」という考え方をします。

(例)

① 給与が毎月末日締め、翌月25日支払いの場合

賃金計算期間:2026年3月1日~3月31日、支払日:2026年4月25日

3月までに支払いが確定しているので、令和7(2025)年度に含める

② 給与が毎月15日締め、翌月10日支払いの場合

賃金計算期間:2026年2月16日~3月15日、支払日:2026年4月10日

3月までに支払いが確定しているので、令和7(2025)年度に含める

賃金計算期間:2026年3月16日~4月15日、支払日:2026年5月10日

3月までに支払いが確定していないので、令和7(2025)年度に含めない(令和8年度として考える)

雇用保険料率の変更時期

上記の例②の場合、雇用保険料率の変更は次のようになります。

賃金計算期間:2026年2月16日~3月15日、支払日:2026年4月10日

⇒3月までに支払いが確定しているので、令和7(2025)年度の雇用保険料率で計算する。

賃金計算期間:2026年3月16日~4月15日、支払日:2026年5月10日

⇒3月までに支払いが確定していないので、令和7年度に含めない。令和8(2026)年度の雇用保険料率で計算する。

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