平均賃金とは
平均賃金は、使用者が労働者に対して次のような手当を支払うときに用います。
・休業手当(使用者の都合で欠勤や遅刻早退などさせる場合)
・解雇予告手当(予告から30日に満たない期間で労働者を解雇する場合)
・年次有給休暇を平均賃金で支払う場合 など
平均賃金は、支払をする労働者毎に計算します。会社の全従業員に支払った賃金の平均・・というような意味ではありません。
原則として、『算定事由の発生した日』前3か月間に支払われた『賃金の総額』を、『その期間の総日数(暦日数)』で割って計算します。
『賃金の総額』には、通勤手当や休日手当、残業手当などすべての手当を含めます。
労働者の生活保障や通常のありのままの生活賃金を算定する意味あいからすべての手当を含めるように決まっています。(慶弔見舞金など臨時に支払われる賃金は含めなくて大丈夫です。)
『算定事由の発生した日』とは、休業をさせた日や年休を取得した日の初日、解雇通告をした日、などです。平均賃金を計算する場合、『算定事由の発生した日』は含まず、前日から遡って3カ月間です。賃金締切日が決まっている場合は、締切日ごとに遡って計算します。
『その期間の総日数(暦日数)』は、原則、暦日数そのままですが、(1)業務上の負傷・疾病の療養のため休業した期間(2)産前産後の休業した期間(3)使用者の責任で休業した期間(4)育児・介護休業期間(5)試用期間 は省いて計算します。
※(3)の休業した期間について遅刻早退などで賃金の一部を支払っていた場合、期間と賃金額どちらも省いて計算します。
平均賃金の計算方法
具体的な計算方法は次のようになります。
例1.日給月給の人に休業手当を支払う場合
・算定事由の発生した日(休業させる日)…3/15
・賃金締切日…月末、賃金支払日…翌月15日
※算定事由の発生した日は含まないので、3/14から遡って3カ月間になります。
賃金支払日 |
12/15 |
1/15 | 2/15 |
暦日数 |
11/1~11/30 30日 |
12/1~12/31 31日 |
1/1~1/31 31日 |
基本給 | 160,000円 | 160,000円 | 160,000円 |
通勤手当 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
合計 | 170,000円 | 170,000円 | 170,000円 |
(3ヶ月の合計510,000円)÷(暦日数92日)=5543.4782…
(※小数点第2位未満切捨て)平均賃金⇒5543.47円
また、給与が時給や日給・出来高払制・請負制の場合は、平均賃金の最低保障として『過去3ヶ月賃金総額(各種手当を含めた支給総額)÷実働日数×0.6』が定められています。原則の金額よりも最低保障額の方が多いときだけ、最低保障額が平均賃金として用いられます。
例2.上の例が時給だった場合
賃金支払日 |
12/15 |
1/15 | 2/15 |
暦日数 |
11/1~11/30 30日 |
12/1~12/31 31日 |
1/1~1/31 31日 |
実働日数 | 20日、160時間 | 20日、160時間 | 20日、160時間 |
基本給 | 160,000円 | 160,000円 | 160,000円 |
通勤手当 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
合計 | 170,000円 | 170,000円 | 170,000円 |
(3ヶ月の合計510,000円)÷(実働日数60日)×0.6=5,100円
最低保障よりも原則で計算した方が金額が多いため、平均賃金⇒5543.47円
(佐藤)