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【労使協定方式で地域指数を選択する際の留意点】

【派遣就業先の地域指数とは限りません】

労使協定方式の労働者派遣を行う場合、国が定める、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額に、地域指数を掛けた金額と同等以上の賃金を派遣労働者に支払う必要があります。
この地域指数は、必ずしも就業している派遣先場所にはなりませんので、注意が必要です。

労働局は地域指数の選択方法として派遣先事業場が、ある程度の事務的能力が必要とされていることから原則として派遣先会社の雇用保険の適用事業所の地域指数を利用するようにと言われます。
例えば茨城県にある派遣先就業場所で派遣労働者が働いていたとしても、茨城の派遣先会社の本社が東京にあり、手続き等の事務処理を東京本社で行っている際は、東京が雇用保険の適用事業所になり東京の地域指数を利用する、という事になります。

令和6年8月27日発表の局長通達本文に下記記載があります。

【「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」については、具体的には、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断することとなり、常に雇用保険の適用事業所と同一であるわけではない。また、協定対象派遣労働者が実際に就業する場所ではなく、例えば、派遣先の事業所が東京都にあるが、協定対象派遣労働者が実際に就業する場所が埼玉県である場合「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」は東京都である。 】

また、労使協定方式に関するQ&A(集約版)に下記の記載があります。

【労使協定Q&A】
問2-18 派遣元事業主が地域指数を選択する際、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」は具体的にどのように判断すればよいか。

答 「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」については、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断することとなり、常に雇保険の適用事業所と同一であるわけではない。

上記の点から必ずしも雇用保険の適用事業所となるわけではないとされています。
ただし、派遣元会社は派遣先会社の就業場所が独立性や高度な事務能力があるかを判断することは不可能なため、派遣先会社に確認をすることになります。

通達にある【経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断】
Q&Aにある【経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること】

のある程度の、基準はどこから認められるのかを各都道府県の労働局に確認してみましたが、答えは労働局によって見解が異なり、具体的な線引きが出来ず、実態で判断するというのが労働局の答えでした。

派遣先から独立している事業場と聞いたから就業場所の地域指数を使用していたが、労働局の調査が入り、実際には派遣先就業場所が独立した事業場と認められない場合は、正しい地域指数により賃金額を計算し、不足がある場合には遡って賃金を労働者に支払う必要も出てきます。派遣先から独立性のある事業場と聞いていたので・・・と言っても通用しない事になりますので、慎重に判断することが必要です。

【派遣元責任者講習の有効期限について】

【うっかり受講を忘れない為に】

派遣元責任者講習の有効期限は3年間です。同じ方が派遣元責任者を続けるのならば、期限切れになる前に講習を受ける必要があります。
派遣事業を運営する上で、派遣元責任者は必ず派遣元会社に配置している必要があります。3年に一度の事なのでうっかり有効期限を過ぎている事や、派遣元責任者の急な退職、病気による休職など思いもよらず派遣元責任者が不在状態になる事がございます。
許可制の派遣業では派遣元責任者の不在は許されない事ですので、注意が必要です。
期限切れ、不在状態を予防するために複数の派遣元責任者を選任し、講習日時をづらして受講するなど、空白期間が生じないようにするのも一つの対策です。

【労務管理】フリーランス新法が2024年11月から施行されます

フリーランス新法とは

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」は、フリーランスの⽅が適正に取引ができ、安定して働ける環境を整備するため、フリーランスに業務委託を発注する事業者に対して義務付けを行う法律です。


内容としては、大きく「取引の適正化」「就業環境の整備」のふたつがあります。

この法律で対象になるフリーランスとは
・従業員を使用していない個人
・従業員を使用していない代表者だけの法人(一人親方や一人社長)
また、ここでの従業員は『週の所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者(または派遣労働者)』を指します。そのため、事業を手伝っているのが同居親族のみの場合は、従業員を使用していないとみなされてフリーランスに該当します。

取引の適正化:発注事業者に義務付けられること

取引の適正化については、公正取引委員会と中小企業庁が所管し、調査、検査、勧告、命令ができ、命令に違反した場合等には罰金等となります。

フリーランスに業務委託を発注する事業者に義務付けられる内容は、発注事業者の属性に応じて異なります。
なお、消費者がフリーランスに業務委託を発注する場合や、事業者間取引であっても業務委託ではない売買取引の場合は、この法律の対象になりません。

業務委託事業者の場合

業務委託事業者とは、フリーランスに業務を委託する事業者で、法人、個人、従業員の有無を問いません。
そのため、フリーランスがフリーランスに業務を委託する場合も含まれます。

義務等の内容
  • 書面やメール等で取引条件を明示すること
明示すべき事項
  1. 業務委託事業者と受託者の名称等
  2. 業務委託をした日
  3. 給付の内容
  4. 給付や役務の提供を受領する期日・場所
  5. 給付の内容を検査する場合は検査を完了する期日
  6. 報酬の額と支払期日
  7. 現金以外で支払う場合は、その方法で支払う額と支払い方法に関すること

特定業務委託事業者の場合

特定業務委託事業者とは、フリーランスに業務を委託する事業者で、「従業員を使用する個人」「従業員を使用する法人」「二以上の役員がいる法人」のことを指します。
資本金の額や企業の規模については要件がありません。

義務等の内容
  • 書面やメール等で取引条件を明示すること
  • 報酬を支払う期日等のルール
報酬の支払期日等のルール
  1. 報酬の支払い日は、給付などを受領した日から60日内かつできるだけ短い期間内で定める
  2. フリーランスに業務の全部または一部を再委託をする場合は、「再委託である旨」「元委託者の名称等」「元委託業務の支払期日」を明示して、元委託の支払期日から起算して30日以内かつできるだけ短い期日で報酬支払い日を定める
  3. 2の場合で元委託者から前払いを受けた場合、フリーランスの業務に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければいけない

1.2が定められない場合は、それぞれ給付を受領した日から60日、30日を経過する日が支払期日とみなされます。

また、支払期日は「〇月〇日まで」「納品後〇日以内」などの定め方は支払期日を定めているとは認められません。
「〇月〇日」「毎月〇日締切、翌月△日支払い」などのように定める必要があります。

1か月以上の業務委託をしている特定業務委託事業者の場合

特定業務委託事業者のうち、フリーランスに1か月以上の業務委託をしている事業者のことを指します。

義務等の内容
  • 書面やメール等で取引条件を明示すること
  • 報酬を支払う期日等のルール
  • 発注事業者としての7つの禁止行為のルール
7つの禁止行為
  1. フリーランスに責められるべき理由や落ち度、過失がないのに、発注物を受け取り拒否することの禁止
  2. フリーランスに責められるべき理由や落ち度、過失がないのに、発注時に決めていた報酬を発注後に減額することの禁止
  3. フリーランスに責められるべき理由や落ち度、過失がないのに、返品することの禁止
  4. 極端に低い報酬にすることの禁止
  5. 発注物の品質を維持する目的などきちんとした理由がないのに、発注者が強制的にフリーランスに物を購入させたりサービスを利用させたりすることの禁止
  6. 発注者のために金銭や役務などを不当に提供させてフリーランスの利益を害することの禁止(協賛金の要請など)
  7. フリーランスに責められるべき理由や落ち度、過失がないのに、発注を取り消ししたり内容を変更させたり、受領した後に発注側が作業に必要な費用を負担せずにやり直しや追加作業をさせることの禁止

就業環境の整備:発注事業者に義務付けられること

就業環境の整備については、厚生労働省が所管し、検査、勧告、命令ができ、命令に違反した場合等には罰金等となります。

就業環境整備が義務付けられるのは特定業務委託事業者で、4つのルールが義務付けられます。

1.募集情報の的確な表示について

広告等で広くフリーランスの業務委託を募集する場合、虚偽の募集内容や誤解を生じさせる募集内容にしてはいけません。
なお、特定の1人に対して業務委託を打診する場合は、既に契約交渉段階に入っていると想定されるので、この内容に含まれません。2人以上の複数人を相手に打診する場合は対象になります。

的確表示の対象となる募集情報事項
業務の内容仕事の内容、必要な能力や資格、検収の基準、不良品の取扱いに関する定め、成果物の知的財産権の許諾・譲渡の範囲、違約金に関する定めなど
就業の場所、時間及び期間に関する事項仕事をする場所、時間、納期、期間など
報酬に関する事項支払期日、支払方法、諸経費、知的財産権の譲渡・許諾の対価など
契約の解除に関する事項契約の解除事由、中途解約の際の費用・違約金に関する定めなど
特定受託事業者の募集を行う者に関する事項名称や業績など

2.妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮

6カ月以上の期間行う業務委託、または契約更新で6カ月以上の期間継続して行うこととなる業務委託をするフリーランスから申出があった場合、特定業務委託事業者は個別に必要な配慮をしなければいけません。

配慮の申出ができるフリーランスは、現に育児介護等と両立しつつ業務を行うもの、またはそういった具体的な予定があるものです。

フリーランスから申出があったのに、それを無視するといったことは法違反となります。
また、申し出の内容等にはプライバシーに関する情報も含まれるので、情報の共有範囲は必要最低限にするなどプライバシー保護の観点にも気を付ける必要があります。

  • 配慮の申し出の内容などを把握する。
  • 配慮の内容や取りうる選択肢を検討する。
  • 配慮の内容が確定したら、フリーランスに速やかに伝える。
  • 十分に検討しても業務の性質等によってやむを得ず配慮できない場合はその旨を伝える。

なお、特定業務委託事業者には、可能な範囲で対応を講じることが求められています。
申し出の内容を必ず実現することまで求められているわけではありません。

3.ハラスメント対策についての体制整備など

セクハラ、マタハラ、パワハラを行ってはいけないことはもちろん、これらの相談に応じる体制の整備などをしなければいけません。
相談を行ったフリーランスに対して契約の解除などの不利益な取扱いをしてもいけません。

これらは社内の労働者に対して啓発している社内体制やツールを活用するのも良さそうです。

4.契約の解除についてのルール

特定業務委託事業者は、6カ月以上の期間行う業務委託または契約更新で6カ月以上の期間継続して行うこととなる業務委託をしているフリーランスの契約を解除する場合や、契約期間満了後に更新をしない場合、少なくとも30日前までにその予告をしなければいけません。

両者間の合意による契約解除の場合はこの法律に該当しませんが、その合意がフリーランスの自由な意思によるものなのかは慎重に判断する必要があります。

また、フリーランスが契約解除を予告された日から契約が満了する日までの間に、契約解除の理由を開示するよう求めてきた場合は、書面やメール等で理由を開示しなければいけません。ただし、第三者の利益を害するおそれがある場合などは例外となります。

事前予告の例外事由と理由開示の例外事由は次のとおりです。

【事前予告の例外事由】

  • 災害やその他やむを得ない事由で予告することが困難な場合
  • フリーランスに責めに帰すべき事由があり、直ちに契約を解除する必要がある場合
  • 再委託の際、元委託者からの契約の全部又は一部の解除等によって、フリーランスの業務の大部分が不要となってしまう等、直ちに契約を解除せざるを得ない場合
  • 契約の更新によって継続して業務委託を行う場合等で、業務委託の期間が30日間以下の短期間である一の契約(個別契約)を解除しようとする場合
  • 基本契約が締結されている場合で、フリーランスの事情で相当な期間、個別の契約が締結されていない場合

【理由開示の例外事由】

  • 第三者の利益を害するおそれがある場合
  • 他の法令に違反することとなる場合

【令和6年10月から教育訓練給付金が拡充されます】

【資格学校やプログラミングスクールなど様々な学校でも利用可能】

令和6年10月から雇用保険制度内の教育訓練給付金の給付率が拡大となります。
特定一般教育訓練給付金の給付率が最大40%から50%へ。
専門実践教育訓練給付金の給付率が最大70%から80%へ。
教育訓練給付制度は、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。

教育訓練給付金は条件を満たした雇用保険被保険者、被保険者であった者が学校等に支払う受講料等を20%~最大80%までを支給する制度です。

現在、リ・スキリング(学びなおし)として、資格取得や他業種に活かす専門知識を学ぶ事が珍しくありません。
資格学校やプログラミングスクールなどでも対応している学校があります。労働者、会社側でもこの制度がある事を知らないという方も多いと思います。もし、今後資格取得などをお考えの方は自分の通う学校が給付金制度を利用できるか等、確認してみることをお勧めします。

【令和7年度適用の労使協定、派遣一般労働者の賃金水準が発表されました】

【職業安定業務統計の職種が改定されています】

令和7年度の労使協定方式の派遣労働者の賃金額を決定する際に使用する
【同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額】が発表されました。
厚生労働省で発表された全文はこちらです。
令和6年度からの変更点や注意点では、通勤手当を時給に含んで支給する場合の1時間当たりの単価が
72円から73円に1円引き上げられた事、退職金を一般賃金・賞与等に乗じた割合は昨年度と同じ5%のままでした。

令和7年度で最も大きく変わったことは、【職業安定業務統計】の職業種類が改定された事です。
改定された理由は前回の改定時より10年以上が経過し、この間の産業構造、職業構造の変化等に伴い、
求人・求職者の職業認識との乖離が生じている分野もみられた事により改定となりました。

大・中・小分類共に職種が増え、特に小分類では71職種も増加しています。現代の職種の考え方により近い分類になった事で職種を選びやすくなった印象です。

令和6年度まで【職業安定業務統計】から職種を選択していた企業様は、令和7年度では再度、自社で派遣している業務がどの職種に一番適しているかを選択する必要があります。この際に実際に行われている職種ではなく、賃金額が下がることを目的として恣意的に職種や、中・大分類を選ぶことは禁止されています。

令和7年4月1日からの賃金額適用と少し先ではありますが、職業安定業務統計を利用の際は職種の再選択、
一般賃金額上昇による派遣先との派遣料金の交渉、労使協定作成などの準備を少しずつ進める必要があります。

【無許可派遣撲滅に向けた緊急対策が発表されました】

【派遣先事業所への対策が強化されます

滋賀労働局は令和5年8月、令和6年2月に無許可派遣で刑事告発を行い、極めて憂慮すべき事態とし、無許可事業者による労働者派遣を撲滅すべく、県内の派遣先事業所に対する自主点検の実施、事業主団体への要請等の緊急対策を実施すると発表がありました

対策内容としては                                            ①派遣先事業所に対する自主点検の実施。                                  ②派遣先事業主に対するオンラインセミナーの実施。
③事業主団体への緊急要請。 

の3つの対策を実施し、無許可派遣の撲滅を目指すとの事です。

無許可派遣の対策は全国的にも行われており、今後も派遣先事業社への注意喚起などより厳しく行われていくことと思われます。

派遣業務を行うには必ず厚生労働大臣の許可が必要です!

弊所では、派遣・職業紹介の新規許可申請代行を数多く行っています。新規許可取得やご相談などありましたらお気軽にお問合せください。

【労務管理】労基調査・ソフトウェア業界

労働時間の管理や長時間労働について、東京で調査が大々的に行われているようです

7月にソフトウェア業の顧問先のお客様に調査が入りました。いわゆる定期調査です。
問題は全くないお客様ですので、調査については無事終わったのですが、監督官から言われたのが、
「東京の労基では全般的に、ソフトウェア業の会社を調査をしている」とのことでした。
私どもの事務所でも、東京に、ソフトウェア業の顧問先のお客様が特に多いので、問題ないか確認する
必要があります。
ポイントは、
①労働時間を従業員の自己申告制にしている場合、「サービス残業」になっていないか
②長時間労働になっていないか、なっている場合の対応(労働時間の削減、面談の実施など)
長年、労基から言われ続けていることではあるのですが、改めて、このようなことを調査されているようです。
従業員さん自身が、「労働時間とは」「長時間労働とは」「健康に留意した働き方とは」を理解し、
認識を深めるように会社側が方策を実施していく必要があると思われます。

 

【有料職業紹介業、お祝い金の規制強化へ】

【お祝い金・転職勧奨を原則禁止、法令違反は許可取り消しも】

厚生労働書は有料職業紹介事業者において禁止されている【就職お祝い金】【転職勧奨】の法令違反が多数みられることから、規制強化を進める方針です。許可条件にお祝い金、転職勧奨の禁止を定めるとし、違反事業者の事業許可を取り消せるようにします。

令和3年4月から職業安定法の指針で「お祝い金」その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供することで求職の申し込みの勧奨を行ってはならないと、禁止されています。
これまで指導があった例では、お祝い金で、面接実施時に数千円分のギフトカードを支給していたケースや、いったん就職した求職者にしばらくすると、お祝い金を支給すると話を持ち掛けて転職を勧奨するなどして、繰り返し就職させ手数料を得ようとする事業者が見られます。また、介護・医療系の会社に多いのが職業紹介事業者が介護・医療系会社に就職したら介護・医療に関する資格取得相当費用を負担するといった例でこちらもお祝い金に相当したケースがあります。

就職した求職者が早期に離職する事の無いように規制が強化される模様です。許可取得を考えの事業者様、職業紹介事業を既に運営中の事業者様も十分に注意が必要となります。

【派遣許可後の運営についてもサポートいたします】

【同一の派遣事業所で複数の是正指導が多数生じています】

東京労働局が令和5年度の民間人材ビジネスに対する指導状況を取りまとめた報告がありました。
指導監督を実施したのは延べ3531件、文書により是正指導を行った件数は3692件で昨年度から0.8%上昇しています。
実施件数より、是正指導件数が多い理由は同一の事業所で複数の項目で指導を行った事や、繰り返し指導を行ったことが要因となっています。
是正指導が行われた派遣事業所は2908件で、同一労働同一賃金に関する労使協定の賃金額の不備が多発。派遣労働者の賃金算定として通勤手当に相当する支給が義務付けられているがこちらの計算ミスが多い結果となっています。
複数項目で指導を受けている会社は労使協定の不備の他、就業条件の明示をしていなかったり、派遣元管理台帳に不備が多いようです。

派遣許可を取った後も、様々な守るべき法律の中で派遣業を運営していくことが必要となります。違反により指導是正、改善命令、許可取り消しとなる事例もございます。
弊社では派遣・職業紹介の許可申請はもちろんですが、許可後の運営方法についてもサポートするサービスがございます。
労使協定方式の基準賃金は毎年変更となる事から毎年計算が必要となりこちらの計算金額の算出方法・確認を始めとした労使協定作成に対する確認・助言や、都度ある法改正への対応、運営上の注意点などに関する情報、毎年6月に報告する年度報告書の作成方法、派遣運営全般についてアドバイスするサービスを行っています。

派遣の許可は取ったけど法律の事は良く解らない、自分の会社は違反をしていないだろうかと不安でいる、毎年の労使協定作成に頭を悩ませている等、ご興味のある事業主様は是非お問合せください。

【労務管理】副業と社会保険

副業の推進

政府は、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日)において、「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」としており、今後、副業をする人は増える傾向にあると思います。

一方で、平成28年10月から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が実施されており、フルタイムでない働き方をする場合にも、企業などで働く方が厚生年金保険や健康保険といった「社会保険」に加入するケースが広がってきています。

そのため、今後、「主たる勤務先」と「副業先」どちらでも社会保険に加入しなければいけないケースは増えてくると思います。

パートタイマー・アルバイト等の方が社会保険に加入するケース

パートタイマー・アルバイト等が、事業所と常用的使用関係にある場合、次の働き方をしていると社会保険に加入するようになります。

  1. 1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上の場合
  2. 「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務していて、以下のすべてに該当する場合
    ・週の所定労働時間が20時間以上あること
    ・賃金の月額が8.8万円以上であること
    ・学生でないこと

特定適用事業所とは

1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が101人以上※となることが見込まれる企業等のこと。  ※令和6年10月からは厚生年金保険の被保険者数が51人以上

ダブルワークでどちらの勤務先でも社会保険に加入するケース

ダブルワークでどちらの勤務先でも社会保険に加入するようになるケースを考えてみます。

① 通常の労働者の4分の3以上

事業所によって「通常の労働者」の時間は違いますが、仮に「通常の労働者」が1日8時間、週5日勤務とすると、ダブルワークでどちらの勤務先でも社会保険に加入するのは、次のような働き方が考えられます。

8H×週5日×4分の3=週30時間

(例)
主たる勤務先 1日6H×週5日(週30時間)
副業先    1日6H×週5日 (週30時間)  

昼も夜もフルタイムに近い働き方をする方や、複数事業所で常勤取締役をするなどが考えられますが、週1日も休みなく働いたり、1日12Hを恒常的に働くようになるので、あまり多くの方は該当しないものと思います。

② 特定適用事業所で週20時間以上

特定事業所で週20時間の勤務をしている場合、仮に1日4時間、週5日勤務とすると次のような働き方が考えられます。

(例)
主たる勤務先 1日4H×週5日 (週20時間)
副業先    1日4H×週5日 (週20時間)

午前と午後で勤務先を分けて働いている場合などが考えられます。
賃金の月額が8.8万円以上であること、学生でないこと、も満たす必要がありますが、最低賃金も上がってきているので、月額要件は満たす場合が多いと考えられます。


副業が活発になると、このような働き方をする方が増えることも考えられるのではないでしょうか。


また、主たる勤務先が①で、副業先が②、などのケースも考えられると思います。

複数の事業所で社会保険に加入するようになったときの手続き

「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を届出し、主たる事業所を選択して管轄する年金事務所または保険者等を決定します。

保険料

社会保険料の標準報酬月額は、「それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額」で決定されます。

さらに、決定された標準報酬月額の保険料額を、「それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき按分」して、保険料が決定され、それぞれの事業所へ通知されることとなります。

健康保険証

健康保険証は、選択した事業所のみで健康保険証が発行されます。

報酬に変更があったとき(月額変更)

「各事業所について随時改定の要件に該当するかどうか」で判断することになります。

それぞれの事業所で固定的賃金が変動し、2等級以上の差が生じていれば、月額変更の届出をすることになります。
あくまで、それぞれの事業所で該当するか否かを確認するので、届出にあたり、他方の事業所の報酬を気にする必要はありません。
ひとつの事業所で月変に該当した場合には、合算して2等級以上の差が生じていない場合でも随時改定が必要になります。

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