相対的記載事項とは、定款に記載することは必要ではないが定款で定めないとその事項の効力が認められない事項をいいます。
(1)現物出資
(2)財産引受け
(3)発起人の報酬その他の特別利益
(4)設立費用
それぞれ会社の財産形成を害する危険を持つため、定款への記載が要求されます。
今回は現物出資について述べたいと思います。
現物出資とは、金銭以外の財産による出資をいいます。
出資の目的物としては、動産・不動産・債権・有価証券・知的財産権などが考えられます。
現物出資においては、目的物を課題に評価して不当に多くの株式が与えられると金銭出資をした他の株主との間で不公平となることや、会社債権者を害するおそれがあります。
したがって現物出資を行うには、現物出資者の氏名(名称)、出資の目的たる財産、その価額、その者に対して割り当てる株式の数を定款に記載することが必要とされます。
さらに、現物出資を行うには、原則として検査役調査が必要となります。発起人は、公証人による定款の認証の後遅滞なく、裁判所に検査役の選任を申し立てなければなりません。
例外として以下の場合には検査役調査は不要になります。
1.現物出資および財産引受けの目的財産の定款記載の価額が500万円を超えない場合
2.当該財産が市場価格のある有価証券であって、定款記載の価額が市場価格を超えない場合
3.現物出資が相当であることについて、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合(目的財産が不動産であるときは、不動産鑑定士の鑑定評価が必要)
現物出資のルールとしては上記のように定められており、現金がなくても「資本金」を計上することは可能となっていますが、検査役調査には時間と費用がかかります。
そのこともふまえて現物出資するかどうかの判断が必要になってきます。