【労務管理】試用期間とは
試用期間は、雇い入れ後、労働者を本採用するか見極めるための期間です。

「試の使用期間中の者」とは、本採用決定前の試験的使用期間中の労働者であって、その期間中に勤務態度、能力、技能、技能、性格等を見て正式に採用するか否かが決定されるものである。
労務行政研究所編「実務コンメンタール 労働基準法・労働契約法」より
一般には、本採用に適しないと判断されたときはその期間中といえども解雇し得るように、解約権が本採用者に比して広範に留保されており、その期間中の賃金その他の労働条件も低く定められている。
試用期間は必ず設けなければいけないものではありません。
必要に応じて、就業規則や雇用契約に試用期間を定めます。
- 試用期間を設ける場合は、就業規則や労働条件通知書に期間や試用期間の労働条件を明確に定めます。
- 試用期間の長さに関する法律上の決まりはありませんが、1カ月~6カ月程度が多いようです。
- 合理的な理由もなくあまりにも長期間を試用期間とすると、公序良俗違反とされる可能性があります。
- 試用期間を延長する場合は、労働者を不安定な地位に置くことになるので、きちんとした根拠や合理的な理由が必要です。
- 就業規則に延長の可能性や延長する事由、期間、回数等について定めておくと良いですが、定めていない場合は労働者本人に合意をとるなど、延長にあたって丁寧な説明をすることが求められます。
試用期間は、正社員だけでなく、アルバイトやパート、契約期間の定めがある有期契約社員にも設けられる場合があります。
試用期間中の解雇
労働基準法21条では「試用期間中の者を入社から14日以内に解雇する場合には、解雇予告手当の支払いは必要ない」としています。
※解雇予告手当とは
労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければいけません。
30日前に予告をしない場合は、30日よりも少ない日数分の平均賃金を支払う必要があります。この手当のことを解雇予告手当といいます。
解雇予告手当の必要がないのは入社から14日以内の試用期間中の者ですので、入社から15日以降の試用期間は通常どおり解雇予告手当が必要になります。
また、試用期間中や試用期間が終わって本採用をしないことによる解雇は、正社員の解雇より幅広く認められるとされていますが、試用期間中であればきちんとした理由もなく簡単に解雇できるわけではありません。
本採用を拒否する理由として、その人物に応じた客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として認められる必要があります。
日々の丁寧な指導や面談、改善の機会を与えることなどが求められます。
有期契約社員の試用期間
有期契約社員にも試用期間が設けられることは珍しくありませんが、労働契約法第17条では、「期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」としています。
労働契約法 第17条(契約期間中の解雇等)
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
労働契約法の関連通達(基発0810第2号)によると、「やむを得ない事由」があるかどうかは個別の具体的な事案に応じて判断されるものの、契約期間は労働者と使用者が合意により決定したものなので、遵守されるべきであるとしています。
「やむを得ない事由」は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」よりも厳しく判断されます。
正社員など期間の定めのない労働契約をしている社員を解雇するときよりも、期間の定めがある労働契約をしている有期契約社員を契約期間中に解雇することは難しいです。
そのため、有期契約社員に試用期間を設ける場合、本採用拒否をすることは期間の定めがない労働者よりもハードルが高いことに留意が必要です。
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